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【FAQ形式】ストックオプションの行使期間はどう設定する?会社法と実務設計のバランスを解説

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新株予約権(SO)

はじめに

ストックオプション(新株予約権)の制度設計において、「行使期間」の設定は、企業の資本政策や税務リスク、インセンティブ効果に大きく影響します。
一方で、「とりあえず10年間にしている」「退職後も無期限」など、制度趣旨を踏まえない形骸的な設計も散見されます

このコラムでは、行使期間の基本構造と、会社法・実務・税務の各視点からの設計ポイントをFAQ形式で解説します。

Q1:ストックオプションの行使期間とは?

行使期間とは、新株予約権を行使して株式を取得できる期間のことです。
発行要項または新株予約権割当契約書において、「いつからいつまで行使可能か」を必ず定めます。

たとえば

「本新株予約権は、2025年1月1日から2030年12月31日までの間に限り行使することができる。」

Q2:会社法上、行使期間の制限はあるの?

明文の上限・下限はありません。

会社法では、新株予約権の「内容として行使期間を定めること」が要請されていますが、何年間といった制限はありません。

ただし、あまりに長期・無期限とすると、資本政策の管理が困難になるため、実務上は5~10年が一般的です。

Q3:税制適格ストックオプションの場合、行使期間の要件はある?

はい、あります。

税制適格SO(所得税法第29条の2)の場合、次のような要件があります。

  • 付与日から2年以上経過した日から
  • 10年以内の間に限り行使できること

つまり、税制適格SOとして設計するには、次のような形にする必要があります。

「本新株予約権は、付与日から2年を経過した日の属する日の翌日から、10年を経過する日の属する日までに限り行使できる。」

→ このような相対的日付(経過年数)に基づいた行使期間の設計が必須です。

Q4:退職・死亡時などに行使期間はどう扱うべき?

失効条項と組み合わせて、以下のような定めを入れることが一般的です

  • 退職時:在職中に限り行使可能/退職後30日以内に限り行使可能
  • 死亡時:相続人が6か月以内に限り行使可能
  • 解任・懲戒退職時:即時失効とするケースも多い

→ 行使期間=「最大の枠組み」+「特定事由による短縮条項」という二段構えでの設計が実務的です。

Q5:行使期間の設計でよくあるミスは?

ミス解説
期間が記載されていない登記不可・税務否認のリスクあり
起算日が曖昧「付与日」か「発行日」か不明確でトラブルに
契約と登記で不一致契約書は退職後○日以内、登記は「在職中に限り」など矛盾が生じがち
税制適格SOの上限を超える10年を超える設定では適格性を失うため要注意

まとめ

  • 行使期間は、SO制度の有効性とリスク管理に直結する重要な設計要素
  • 会社法上は自由度があるが、税制適格SOの場合は厳格な要件あり
  • 実務では、最大期間+退職・死亡等の短縮条項で二重設計するのが基本

ストックオプション制度の設計・契約・登記をご検討中の企業様へ
当法人では、法務・登記・税務の視点から、行使期間を含むSO設計の最適化をご支援しています。制度設計段階からのご相談も歓迎しております。