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【FAQ形式】ストックオプションは退職するとどうなる?失効・行使・契約上の注意点を解説

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新株予約権(SO)

ストックオプション(新株予約権)制度を導入する企業が増える一方で、
退職者が権利を行使できるのか?」「退職後に行使されると困るが制限できるのか?」といった実務上の疑問は絶えません。

本稿では、退職とストックオプションの関係性について、契約・会社法・税務の各観点からFAQ形式で解説します。

Q1:従業員が退職したら、ストックオプションは自動的に消滅しますか?

自動的には消滅しません。

退職によりストックオプションを失効させるには、付与時の契約(新株予約権割当契約書)や募集要項で明示しておく必要があります。

よくある記載例:「対象者が在職中に限り、本新株予約権を行使できるものとし、退職または解任された場合には、行使前の全ての新株予約権は当然に失効する。」

Q2:退職後でもSOを行使させたい場合、どう設計すべきですか?

次のように、在職中の付与+退職後一定期間の行使猶予を設ける形が一般的です

例)

  • 「在職中に付与されたSOについては、退職後○ヶ月以内であれば行使可能」
  • 「退職時点で未達成の行使条件があるSOは全て失効とする」

これにより、一定の成果をあげた退職者には報酬を残しつつ、不確実な将来の権利行使は制限することができます。

Q3:退職時失効を契約で定めなかった場合は?

契約書に失効条件がなければ、権利は原則として存続し、期間内であれば行使可能と解されます。
そのため、企業にとって意図しない行使がなされる可能性があります。

トラブルを防ぐためには

  • 権利消滅の明確な記載
  • 在職期間・行使期間・行使条件の定義の明文化

が重要です。

Q4:失効条項に問題があると、法的に無効になることはありますか?

はい、あります。たとえば以下のような場合は無効・争いになるリスクがあります:

問題点
「いつでも会社が自由に失効させる」権利の一方的奪取とされ無効の可能性あり
「退職理由を問わず即時失効」不当解雇や病気退職等に対して過酷と評価される可能性あり
曖昧な表現(例:「会社の判断による」)契約の明確性を欠き、権利保護の観点から無効の恐れあり

合理的で客観的な基準に基づく失効条項の設計が重要です。

Q5:税制適格ストックオプションでも退職後の行使は可能ですか?

可能ですが、税制適格SOには期限制限があります。

要件項目内容
行使可能期間付与から2年以上10年以内の間であること
行使時点の属性行使時点で「発行会社の役員・従業員」である必要はない(ただし退職後に行使する場合も適格扱いされる)
保管委託要件等適格SO全体の要件を満たしていることが前提

つまり、在職中に付与されたSOであれば、退職後の行使も適格扱いとなります(行使可能期間内であれば)。

まとめ

ストックオプション制度において、退職時の権利消滅ルールは最重要項目の一つです。
「原則失効だが、例外的に行使可能」といった明確で柔軟な設計が、インセンティブ制度としての機能を保ちながら、トラブルを防ぐ鍵となります。


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