はじめに
ストックオプション(新株予約権)を発行する際、会社法上の「登記事項」を正確に把握し、登記に反映させることは法務実務において非常に重要です。
本稿では、新株予約権に関する登記事項と、その実務上の落とし穴について、FAQ形式で解説します。
Q1:新株予約権の発行は登記が必要なの?
はい、必要です。
新株予約権の内容の一部を商業登記簿に登記しなければなりません。
これは、発行済新株予約権の存在とその条件を対外的に明確にするための措置です。
Q2:登記される内容(登記事項)には何がありますか?
主な登記事項は以下の通りです。
項目 | 内容例 |
---|---|
新株予約権の数 | 100個、1,000個など(発行単位) |
株式の種類・数 | 普通株式各1株を取得できるものなど |
行使価額 | 1株につき○○円 など |
行使期間 | ○年○月○日~○年○月○日 |
行使の条件 | 勤続年数・IPO時のみ など |
会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件 | 合併等があった場合の取扱いなど |
発行日 | 払込日または契約締結日など |
Q3:行使条件も登記するの?
はい、「行使条件」がある場合は必ず登記が必要です。
つまり、「在職中に限り行使可」「IPO後に限り行使可」「一定期間経過後に限り」などの制限を設けている場合は、登記に明示する必要があります。
Q4:登記事項に不備があるとどうなる?
- 法務局から補正通知が届く
- 登記が却下される可能性がある
- 重大な場合には、登記懈怠として過料の対象(会社法976条)
また、投資家やVCが関与する場合、登記事項の不備は信頼性の問題につながり、資金調達にも影響します。
Q5:実務上よくあるミスは?
ミス | 解説 |
---|---|
行使条件を登記していない | 契約書に条件があるのに登記されていないケースは特に多い |
発行日・払込日の混同 | 登記上の「発行日」は実務で誤解されやすい |
株式の種類・数の誤記 | 普通株式1株あたりのSOなのに「100株」などと誤記する例 |
→ 登記前に、発行要項・議事録・契約書と登記申請書を突合することが肝要です。
まとめ
- 新株予約権の発行には、会社法所定の登記事項を正確に反映することが義務
- 特に行使条件・譲渡制限・期間は記載漏れが多いポイント
- 登記懈怠や補正リスクを避けるには、司法書士・法務担当者との事前確認が不可欠
新株予約権の発行と登記をご検討中の企業様へ
当法人では、発行スキームの整備から登記申請、議事録・契約書のドラフトまで、一括して対応可能な体制をご用意しております。お気軽にご相談ください。