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新株予約権の発行における「無償」と「有償」の違いと共通点 ― 決議機関と実務プロセスを整理する

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新株予約権(SO)

新株予約権(ストックオプション)の決議機関を悩まれる方が、時々いますが、新株予約権の発行決議の機関は、公開会社か否か、公開会社の場合は、「有利発行かどうか」が意思決定機関の分かれ目となります。
今回は、混乱の多いこの論点について、正確な法的整理と実務上の着地点を示します。

【結論】意思決定プロセスは、「有利発行かどうか」で決まる

区分決議機関有利発行なら?
上場会社(公開会社)原則:取締役会株主総会
非上場会社(非公開会社)原則:株主総会株主総会

つまり、無償か有償かにかかわらず、

  • 公開会社なら原則取締役会、しかし有利発行であれば株主総会決議が必要
  • 非公開会社なら発行決議は、株主総会決議となる

「無償=報酬性あり、有利発行扱い」は誤解ではないが不正確

たしかに、無償ストックオプションは、報酬性が認定されやすく、有利発行と判断されることが多いです。
しかし重要なのは以下の点

● 有償であっても、発行価額が著しく低ければ、有利発行とみなされる
● 無償であっても、全員株主に対して一律条件であれば、有利発行とまではいえない

つまり、「無償だから株主総会決議が必要」という単純な理屈では整理できず、その結論は誤りとなります。

実務上の「プロセス」は、無償も有償も基本的に同じ

ストックオプション発行時の典型的な流れは、無償か有償かに関係なく共通です。

  1. 発行条件の設計(行使価額、行使期間、譲渡制限、取得条項など)
  2. 評価(必要に応じて第三者算定)
  3. 株主総会または取締役会での発行決議
  4. 契約書の締結
  5. 払込(有償SOの場合)
  6. 登記(割当日から2週間以内)

ポイントは、「どの機関でどの決議を要するか」が状況によって異なるだけで、全体プロセスに有償・無償で大きな違いはないということです。

実務者が陥りがちな誤解とその対処法

誤解実務上の整理
無償SOは必ず株主総会決議が必要非公開会社なら原則必要/公開会社なら取締役会で足りる
有償SOなら取締役会決議でOK取締役会で良いのは、公開会社だけ。しかし発行価額が低ければ有利発行に該当し、株主総会特別決議が必要な場合あり
有利発行かどうかは“無償か有償か”で決まる実質的な経済的利益の有無・程度で判断される(無償≠自動的に有利)

まとめ:意思決定フローは「金額」より「公正性と利害」で判断する

無償か有償かという表面的な分類ではなく、新株予約権の内容が「会社にとって有利なものかどうか」が最も重要です。
非上場企業であっても、報酬性や取得条項の有無、対象者の属性によって、発行方法は変わってきます。

誤った機関決議による発行は、無効となるリスクもあります。
ストックオプションスキームは、制度設計段階で専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。