資金調達の手段として、「社債」と「新株予約権(ストックオプション)」を組み合わせた「新株予約権付社債」 という方法があります。
これは、企業が社債を発行しながら、投資家に株式を取得する権利を与える仕組み であり、企業・投資家双方にとってメリットがあります。
本記事では、新株予約権付社債の仕組みやメリット・注意点 を詳しく解説します!
新株予約権付社債とは?
概要
新株予約権付社債(Convertible Bond with Warrants)とは、通常の社債に「新株予約権(一定の価格で株式を購入できる権利)」が付いた金融商品 です。
投資家は、
① 債券としての利息収入を得る
② 株価が上昇した際に新株予約権を行使し、株式を取得する
という 2つの選択肢 を持つことができます。
仕組み
新株予約権付社債は、次の2つの要素で構成されています。
1.社債(債券):定期的な利息が支払われ、満期時には額面が償還される。
2.新株予約権(ワラント):一定の条件で発行会社の株式を購入できる権利が付与される。
具体例
- 額面10万円の社債(年利2%) を購入
- 新株予約権が付いており、株価1,000円で10株を購入できる権利 を持つ
- 株価が1,500円に上がった場合、予約権を行使すると1株あたり500円の利益
- 株価が下がった場合、予約権を使わずに社債として運用し、利息を受け取ることが可能
企業側のメリット
① 資金調達がしやすい
新株予約権が付いていることで投資家の魅力が増し、通常の社債よりも資金調達がスムーズになる ケースが多いです。
特に、成長企業やスタートアップは、金融機関の融資を受けにくいため、有効な資金調達手段となる。
② 通常の社債よりも低金利で発行できる
投資家は、新株予約権による株式取得のメリットを期待するため、通常の社債よりも低い金利で発行できることが多い です。
企業の支払利息負担を軽減しながら、資金調達が可能!
③ 株主構成の変化をコントロールしやすい
通常の増資とは異なり、株主総会の決議を経ずに発行できる ため、スムーズな資金調達が可能です。
また、新株予約権を行使しなければ株式数の増加はなく、企業の株式比率を維持しやすい というメリットもあります。
④ 資金の流出を防げる(新株予約権行使時)
投資家が新株予約権を行使すれば、社債の償還を株式発行で行えるため、企業の資金負担が軽減される というメリットがあります。
社債の満期時に新株予約権が行使されれば、キャッシュの支出なしで資本調達が可能!
投資家側のメリット
①債券の安全性 + 株式の成長性を両方享受できる
新株予約権付社債は、「安定した債券収入」 と 「株価上昇時のキャピタルゲイン」 の両方を狙うことができる投資商品です。
株価が上昇すれば → 新株予約権を行使して大きな利益を得る
株価が下落しても → 債券として保有し、満期まで利息を受け取る
「攻め」と「守り」の両方を兼ね備えた投資が可能!
② 株価上昇時に確実な利益を狙える
新株予約権の行使価格が固定されているため、株価が行使価格を上回れば確実に利益を得られる のが特徴です。
例:
- 社債額面:10万円
- 新株予約権の行使価格:1,000円/株
- 市場株価が1,500円に上昇した場合、1株あたり500円の利益
株価が上がった時点で新株予約権を行使すれば、リスクなく利益を確保可能!
注意点(企業・投資家共通)
⚠ ① 満期時に返済が必要(企業側)
- 投資家が新株予約権を行使しなかった場合、社債は満期時に償還義務があるため、企業は資金を準備しておく必要がある。
- 特に、業績が悪化している場合、資金繰りが苦しくなるリスクがある。
⚠ ② 希薄化リスク(企業側)
- 新株予約権が行使されると、株式が発行されるため、既存株主の持株比率が低下(希薄化)する可能性がある。
- 企業は、新株予約権行使の影響を考慮し、資本政策を慎重に計画する必要がある。
⚠ ③ 転換価格の決定が難しい(投資家側)
- 転換価格(新株予約権の行使価格)が高すぎると、株価が上昇しない限り新株予約権の価値がなくなる。
- 低すぎると、企業側の希薄化リスクが高まるため、慎重な設定が求められる。
まとめ
新株予約権付社債は、社債と株式の特徴を併せ持つ金融商品で、企業・投資家双方にメリットがある!
企業側のメリット:低コストで資金調達が可能、株主構成をコントロールしやすい
投資家側のメリット:債券の安全性と株式の成長性を両方得られる
注意点:企業は満期時の返済リスク、株式希薄化リスクを考慮する必要がある
新株予約権付社債は、企業にとって柔軟な資金調達手段であり、投資家にとっても魅力的な投資機会を提供します。
発行時には、適切な条件設定と将来の影響を慎重に検討することが重要です!
新株予約権に関するご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。