【有償ストックオプションとは?】発行価額・行使価額の違いとメリット・デメリットをわかりやすく解説

近年、企業のインセンティブ制度として**ストックオプション(SO)が広く活用されており、特に「有償ストックオプション」が注目を集めています。

「無償ストックオプションとの違いは?」
「発行価額と行使価額って何が違うの?」
「どんなメリット・デメリットがある?」

こういった疑問をお持ちの経営者や財務担当者の方に向けて、有償ストックオプションの仕組みや活用のポイントをわかりやすく解説します!

目次

有償ストックオプションとは?

有償ストックオプションとは、発行時に役員や従業員が対価を支払って購入するストックオプションのことです。
通常の(無償)ストックオプションと異なり、権利を取得する際に「発行価額」を支払う必要があります。

仕組みを簡単に説明すると…
会社が有償ストックオプションを発行
役員・従業員が発行価額を払って取得
一定の条件を満たしたら、行使価額を払って株式を取得
取得した株式を売却すれば、差額が利益となる

例えば…

  • 会社が発行価額10円/株、行使価額500円/株の有償ストックオプションを発行
  • 従業員がストックオプションを購入(10円×付与数)
  • 株価が1,000円になったら、500円を支払って行使し、株式を取得
  • 1,000円で売却すれば、(1,000円-500円)×株数 の利益!

「発行価額」と「行使価額」の違い

有償ストックオプションの理解には、「発行価額」と「行使価額」の違いを押さえておくことが重要です。

用語説明
発行価額ストックオプションを購入する際に支払う価格
行使価額権利を行使して株式を取得する際に支払う価格

ポイント

  • 発行価額:通常、オプションの「公正価値」に基づいて設定(数円〜数十円程度)
  • 行使価額:基本的に「発行時の時価以上」で設定

有償ストックオプションのメリット

① 税制上のメリット(給与課税ではなく譲渡課税)

通常のストックオプション(税制非適格)の場合、行使時に「給与所得」として課税され、最大55%の税率が適用されることもあります。

一方、有償ストックオプションは金融商品とみなされるため、給与課税がなく、売却時に最大20%の譲渡所得課税が適用されます。

結果として、税負担が大幅に軽減!

② 役員報酬決議が不要

無償ストックオプションを役員に付与する場合、会社法上の「役員報酬」とみなされ、株主総会の決議が必要になります。

しかし、有償ストックオプションは「報酬」ではなく「金融商品」としての性質を持つため、取締役会決議のみで発行可能(上場企業の場合)。

スムーズに発行でき、手続きが簡単!

③ 購入するため、従業員のモチベーションが向上

無償ストックオプションの場合、付与されても従業員があまり意識しないケースもあります。

一方、有償ストックオプションは実際にお金を払って取得するため、強いオーナーシップが生まれ、長期的なコミットメントにつながるメリットがあります。

自らの投資が会社の成長と直結!

④ 社外の協力者にも付与可能

税制適格ストックオプションは、「従業員や役員」に限定されるため、社外の顧問やコンサルタントには付与できません。

しかし、有償ストックオプションなら社外の協力者にも発行可能で、優秀な外部人材を巻き込む手段として活用できます。

採用だけでなく、外部のキーパーソンにもインセンティブを!

有償ストックオプションのデメリット

① 発行価額の払込が必要

有償ストックオプションは「購入」する必要があるため、従業員にとってはキャッシュアウトの負担が発生します。

対策

  • 発行価額を低めに設定(例:1株あたり数円〜数十円)
  • 給与からの天引き方式で分割払いにする

② 行使するために条件の達成が必要

有償ストックオプションは、多くの場合、業績達成条件や在籍条件(ベスティング)が設定されます。

そのため、条件を満たさないと行使できないリスクがある点は注意が必要です。

対策

  • 現実的なKPIを設定し、達成しやすい条件にする
  • 従業員に対して適切な説明を行い、納得感を持たせる

まとめ|有償ストックオプションは適切な設計が重要

有償ストックオプションは、税制上のメリットやモチベーション向上効果が期待できるインセンティブ制度ですが、発行価額の負担や行使条件の設定には慎重な検討が必要です。

メリットまとめ

  • 税制上のメリット(譲渡課税20%)
  • 役員報酬決議が不要で手続きが簡単
  • 従業員のモチベーション向上に貢献
  • 社外の協力者にも付与可能

デメリットまとめ

  • 発行価額の払込が必要
  • 行使条件を満たさないと権利行使ができない

ストックオプションは資本政策の一環として適切に設計することが重要です。
導入を検討している企業は、専門家と相談しながら最適なプランを策定しましょう

新株予約権の導入に関するご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。

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