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ストックオプションの税務上の考え方、法人側で押さえるべきポイント

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新株予約権(SO)

ストックオプション(SO)は、役員や従業員に対する報酬制度として一般的になっていますが、税務上の取扱いは複雑で、法人税法・所得税法の両面からの整理が必要です。
ここでは、税法の仕組みや法令構造を中心に、実務で誤解しやすい点を整理します。
※本記事は一般的な法令解説であり、具体的な申告や判断は必ず顧問税理士等にご確認ください。

ストックオプションの法人税法上の位置づけ

法人税法では、役員や従業員に新株予約権(ストックオプション)を付与した場合、「給与としての性質」を持つものと位置づけています。
そのため、会社側から見ると「報酬費用」として認識される可能性がありますが、実際に損金に算入できるかどうか、またその時期
は一定の要件に従って判断されます。

法人税法上の主な根拠条文

ストックオプションの取扱いに関連する主な条文は、次の2つです。

条文主な内容
法人税法第34条役員給与の損金不算入(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の要件)
法人税法第54条の2新株予約権(ストックオプション)による報酬の損金算入時期の特例

これらは「損金になるかどうか」「いつ損金にするか」をそれぞれ定めています。
つまり、ストックオプションを役員に付与した場合、まず34条で「損金にできる種類の報酬か」を確認し、次に54条の2で「損金に計上できるタイミング」を判断する、という流れです。

税制適格ストックオプションと税制非適格ストックオプション

ストックオプションは、所得税法上の要件を満たすかどうかで「税制適格」「税制非適格」に分かれます。

区分役員・従業員側の課税時期法人側の取扱い(概要)
税制適格SO株式売却時に課税(譲渡所得)損金不算入(費用計上不可)
税制非適格SO権利行使時に課税(給与所得)原則として損金算入可(行使時)

ここで重要なのは、「損金算入できるかどうか」は税制区分によって変わる点です。
特に税制適格SOは、行使時に役員・従業員側で課税が発生しないため、法人側でも費用として扱えないという構造になっています。

損金算入のタイミング

ストックオプションを費用として処理するタイミングは、
「給与等課税事由」が発生した時点(=権利行使など)とされています。

つまり、付与時点では損金計上できず、実際に行使されて初めて損金算入できることになります。
ただし、無償付与や消滅の場合など、権利行使が行われないまま終了するケースでは、損金算入の機会自体が発生しないこともあります。

法人側が確認しておくべき実務ポイント

ストックオプション制度を導入・実行する際には、次のような点を整理しておく必要があります。

  1. 税制区分の確認
     税制適格・非適格のいずれかを明確にし、取扱いを誤らない。
  2. 役員報酬の要件確認(法34条)
     定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれに該当するかを税理士に確認。
  3. 損金算入時期の認識(法54条の2)
     行使時課税・行使時損金のタイミングを明確に管理。
  4. 税務書類の提出確認
     法人税申告時には、「新株予約権に関する明細書」(別表14(4))などの添付義務があるため、顧問税理士と連携して整備。

会計処理との関係

会計上は、ストックオプションを付与時の公正価値で評価し、権利確定までの期間に費用配分するのが原則です。
一方で税務上は、行使時に初めて損金にできるため、会計と税務でタイミングが異なります。

このズレ(いわゆる「一時差異」)は、税効果会計の対象となり、決算書上の繰延税金資産・負債の認識に影響します。
IPO準備企業などでは、監査法人と税理士の両方の確認を受けておくことが重要です。

まとめ

ストックオプションの税務処理は、

  • 「損金にできるか(法人税法34条)」
  • 「いつ損金にできるか(法人税法54条の2)」
    という二段階構造で判断されます。

会計上は付与時から費用を計上しても、税務上は行使時にずれ込むため、社内管理・税務申告・開示対応の三点を必ず整合させておくことが求められます。

【補足】免責事項

本記事は法令の一般的説明を目的としたものであり、特定の税務判断・申告行為を行うものではありません。
具体的な税務処理や別表記載方法については、必ず税理士・会計士など専門家にご相談ください。


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