ストックオプションは退職すると失効する?退職後も行使できるケースを解説!

スタートアップやベンチャー企業では、従業員や役員にストックオプションを付与することが一般的です。しかし、成長企業ほど人の入れ替わりも激しく、「退職したらストックオプションはどうなるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか?

今回は、ストックオプションを付与されたまま退職した場合の影響や、退職後も行使できるケースについて詳しく解説します。

目次

退職したらストックオプションはどうなる?

まず結論から言うと、退職後にストックオプションを行使できるかどうかは、付与時の契約条件によります

多くの企業では、ストックオプションの付与契約に以下のような行使条件が記載されています。

  • 「ストックオプション行使時に会社の役員または従業員であること」
  • 「退職した場合、会社はストックオプションを消滅させることができる」

このような契約がある場合、退職と同時にストックオプションは失効するのが一般的です。

しかし、すべての企業で退職=即失効とは限りません。
企業によっては、「退職後◯ヶ月以内であれば行使可能」とするケースや、特定の条件を満たせば退職後でもストックオプションを保持できる制度を設けていることもあります。

次に、なぜ退職時にストックオプションが失効してしまうことが多いのか、その理由を詳しく解説します。

ストックオプションが退職後に失効する理由

ストックオプションが退職と同時に失効する背景には、ストックオプションの本来の目的が関係しています。

ストックオプションの目的とは?

  1. 従業員のモチベーションを向上させ、会社の成長を促す
  2. 会社への長期的な貢献を促す

ストックオプションは、従業員や役員が企業の成長に貢献し続けるためのインセンティブとして設計されています。そのため、退職後にストックオプションを保持することは、会社の成長に貢献しない人に利益を与えることになり、本来の目的とズレてしまうのです。

また、企業がIPOを果たすと、従業員がストックオプションを行使し、株を売却してすぐに退職してしまうリスクもあります。これを防ぐために、上場後の一定期間は行使できないルールを設ける企業も少なくありません。

では、どうすれば退職後にストックオプションを行使できるのでしょうか?次のセクションで解説します。

退職後にストックオプションを行使するには?

ストックオプションの行使条件は、基本的には付与時の契約によって決まります。そのため、退職後にストックオプションを行使できるかどうかは、以下のポイントを確認することが重要です。

退職後の行使を認める契約があるか?

一部の企業では、以下のような条件を満たせば退職後もストックオプションを行使できることがあります。

  • 退職後◯ヶ月以内なら行使可能
  • 取締役会の承認があれば行使可能
  • 業務委託契約や顧問契約を結ぶことで行使可能

もし、取締役会の承認が得られる場合、退職後にストックオプションを行使できる可能性があります。ただし、この承認が得られるのは以下のようなケースに限られます。

  • 会社に対して極めて大きな貢献をしていた
  • 退職後も業務委託や顧問契約を結び、会社に関わる
  • 会社にとって大きなメリットがある(顧客紹介など)

退職後も行使できる「退職金型ストックオプション」とは?

近年、退職後もストックオプションを活用できる制度として「退職金型ストックオプション」が注目されています。

退職金型ストックオプションの特徴

  • 行使価格:1円
  • 権利行使期間:退職日から10日以内
  • 課税タイミング:権利行使時(退職課税) / 株式売却時(譲渡課税)
  • 税率:最大約20%(退職所得扱い)

退職金型ストックオプションの最大のメリットは、「退職所得」として課税されることです。通常の給与所得では最大55%の累進課税が適用されるのに対し、退職所得なら20%程度の低税率で済みます。

また、近年では譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)という制度が、退職金型ストックオプションの代替手段として採用されるケースも増えています。RSは、一定の条件を満たせば会社が損金算入できるため、税金の圧縮メリットがあるのが特徴です。

海外企業のストックオプション制度との違い

日本では退職時にストックオプションが失効するのが一般的ですが、海外では退職後もストックオプションの行使が認められるケースが多いです。

例えば、Googleでは「アーリーエクササイズ(Early Exercise)」と呼ばれる制度を導入しており、退職後3ヶ月以内であればストックオプションを行使して株式を取得できるルールがあります。

このような柔軟な制度は、従業員のキャリアの選択肢を広げるだけでなく、企業側にも「優秀な人材が働きやすい環境」を提供するメリットがあります。

日本でも今後、退職後のストックオプション行使に関するルールの見直しが進む可能性があるかもしれません。

まとめ

今回は「ストックオプションは退職するとどうなるのか?」について解説しました。

  • 退職するとストックオプションは基本的に失効するが、例外もある
  • 退職後に行使できるかどうかは、契約条件次第
  • 退職金型ストックオプションなど、退職後も行使できる制度が存在する
  • 海外では退職後の行使が認められるケースが多い

ストックオプションを付与されている方は、事前に契約内容をよく確認し、退職後のリスクを把握しておくことが重要です。

もし不明点があれば、専門家に相談するのも一つの方法でしょう。

新株予約権に関するご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。

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