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ストックオプションを発行した場合の登記記載はどうなる?払込金額と行使価額の区別を整理する

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新株予約権(SO)

「ストックオプションの登記には何をどう書けばよいのか?」「行使価額と払込金額の違いはどこで記載するのか?」といった疑問を多くいただきます。

本コラムでは、有償SOの発行における登記記載の構造を整理します。

1.有償SOを発行したとき、登記されるのは何か?

会社が新株予約権を発行した場合、会社法に基づき、以下の項目を登記しなければなりません

特に有償SOの場合、次の2項目に注意が必要です

登記事項内容
行使価額予約権行使時に払い込む金額(株式取得の対価)例:1株につき10,000円など
払込金額予約権取得時に払い込む金額(SO取得の対価)例:1個につき30,000円など(←有償SO特有)

→ 両者は目的も登記上の記載箇所も異なります

2.具体的な登記記載例(サンプル)

募集新株予約権の払込金額

「新株予約権1個当たりの払込金額は、金3万円とする。」

登記簿の記載項目:「募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨」

行使価額(出資額)

「新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、1株当たり金10,000円とし、発行株式数にこれを乗じた額とする。」

登記簿の記載項目:「新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法」

3.登記申請書における記載ポイント

要素登記簿での位置記載例
新株予約権の名称「第〇回新株予約権」など第1回新株予約権
数量新株予約権〇個100個
株式数各予約権あたりの株式数 × 個数普通株式10,000株(100個×100株)
行使期間○年○月○日から○年○月○日まで発行日から10年間など
払込金額1個3万円とする上記項目に明記
行使価額1株10,000円上記項目に明記

4.よくある実務ミスと登記官からの補正指摘例

ミス指摘されやすい点
払込金額と行使価額を混同して1か所にしか書いていない「登記簿上、登記官は両者を別項目として審査します」
払込金額の登記事項に「無償」と記載してしまった「有償なのに“払込不要”と誤記されている」として補正対象に
行使価額を“予約権1個あたり”と記載「目的は株式。1株あたりの価額として記載すべき」として指摘

5.契約書・登記・議事録の整合性も要チェック

  • 契約書では、「予約権1個あたりいくらで引き受けるか(払込金額)」と
    「行使により取得する株式1株あたりの払込価額(行使価額)」を分けて明記
  • 株主総会議事録・取締役会議事録・登記申請書・契約書の文言がすべて一致しているか確認することが重要

有償SOでは「払込金額」と「行使価額」を正確に分けて登記する

無償ストックオプションでは登記上の項目がシンプルですが、
有償ストックオプションでは、取得時の払込と行使時の払込が“別物”であり、それぞれ登記上も別項目として処理されます。

登記ミスや補正リスクを避けるには、正確な文言設計・登記官目線での事前チェック・契約書との整合性確保が欠かせません。