ストックオプション(SO)の発行にあたっては、どのような条件で権利を行使できるのかを定める「行使条件」を設計する必要があります。
行使条件は新株予約権の内容として登記にも反映されるため、定め方を誤ると登記補正や実務上のトラブルにつながります。
行使条件とは
行使条件とは、ストックオプションを付与された者が権利を行使できるために満たすべき要件をいいます。
例えば、
- 一定期間在職していること(勤続要件)
- 業績目標の達成(業績要件)
といった条件が設定されます。
行使条件を定める目的は、インセンティブを会社の成長や目標達成と連動させることにあります。
行使条件の一般的な設定例
提供コンテンツに基づき、実務上よく見られる行使条件の設定例は次のとおりです。
| 条件区分 | 設定内容の例 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 勤続要件 | 権利付与日から2年以上在職していること | 長期的な定着促進 |
| 業績要件 | 一定の営業利益や売上高を達成した場合に行使可能 | 企業業績との連動 |
登記事項としての取扱い
行使条件は会社法上、新株予約権の「内容」として扱われます。
したがって、発行時に株主総会または取締役会で決議し、登記に反映させる必要があります。
発行決議においては、登記上記載が求められる範囲を明確にしておくことが重要です。
実務上の注意点
- 行使条件は、新株予約権の内容として決議時に具体的に定めること。
- 「行使の可否を取締役会決議で定める」とだけ記載する場合、内容が不明確として補正対象になるおそれがある。
- 業績要件を設定する場合は、客観的に判定可能な指標を用いる。
- 条件を複数設定する場合、どの条件が優先されるかを明確にする。
条件変更時の取扱い
発行後に行使条件を変更する場合は、新株予約権の内容変更に該当します。
そのため、原則として発行決議機関での決議を要し、登記の変更手続も必要です。
まとめ
ストックオプションの行使条件は、インセンティブ設計の要であり、同時に法務・登記実務の核心部分でもあります。
勤続・業績・承認などの条件を適切に組み合わせ、決議内容と登記内容に齟齬が生じないように設計することが重要です。
発行後の条件変更は手続が煩雑になるため、発行段階で慎重に内容を確定させることが実務上のポイントです。
