株式報酬制度の一つとして注目されているのが パフォーマンスシェア(Performance Share Unit, PSU) です。
一定の業績目標を達成した場合に株式を付与する仕組みで、従業員の成果と企業価値の向上を直接リンクさせる制度設計が可能となります。
パフォーマンスシェアの仕組み
- あらかじめ設定した業績指標(例:売上高、利益、ROE、株価指数など)の達成度に応じて株式を交付
- 付与株数は目標達成率に応じて変動する
- 一般的には在籍要件(一定期間勤務)と併せて設定される
ストックオプション・RSとの違い
項目 | パフォーマンスシェア(PSU) | ストックオプション(SO) | 譲渡制限付株式(RS) |
---|---|---|---|
インセンティブ原資 | 業績達成度に応じた株式交付 | 株価上昇益 | 株式そのもの |
株数 | 業績により変動 | 固定 | 固定 |
希薄化 | 発行株数に応じて発生 | 潜在株式分が希薄化 | 発行株式分が希薄化 |
税務 | 付与時に給与課税、売却時に譲渡所得課税 | 適格SOなら売却時のみ課税 | 付与時に給与課税 |
メリット
- 業績と報酬を直接リンクできるため、企業価値向上の強いインセンティブとなる
- 株主にとっても、企業の成果に応じて株式が交付されるため納得感が高い
- IPO準備企業においても、成長指標と連動した制度として導入例が増えている
デメリット・留意点
- 達成指標の設定が不適切だと、インセンティブ効果が弱まる
- 会計処理が複雑で、付与株数の見積り変更に伴う費用認識が発生
- 税務上は給与課税が原則であり、受益者の税負担が早期に生じる
まとめ
パフォーマンスシェアは、業績達成度に応じて株式を交付する仕組みであり、企業と従業員の成果を強く結びつける制度です。
ただし、指標設定・会計処理・税務負担といった実務上の課題があるため、ストックオプションや譲渡制限付株式と比較しつつ、自社の成長段階に応じた制度設計が求められます。