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ベンチャー企業がストックオプション制度を導入するタイミングはいつが最適か?

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新株予約権(SO)

はじめに

スタートアップ企業にとって、優秀な人材の獲得と継続的なモチベーションの維持は、企業価値を大きく左右する重要な要素です。その中でストックオプション制度(新株予約権)は、報酬制度の一環として非常に有効な手段とされています。

しかし、「制度をいつ導入するのがベストなのか?」という疑問を抱える経営者の方も少なくありません。タイミングを誤ると、税務やガバナンス、資本政策に思わぬ影響を与えることもあるため、導入時期の見極めは慎重を要します。

本コラムでは、ストックオプション導入に適したタイミングと、導入前に検討すべき実務的なポイントについて解説します。

ストックオプションの基本的な役割

ストックオプションとは、将来あらかじめ決められた価格で自社株式を取得できる権利を、役員や従業員等に付与する制度です。

導入の目的は主に以下の通りです。

  • 優秀な人材の獲得とリテンション(定着)
  • 成果に連動した報酬制度の構築
  • キャッシュフローを圧迫しないインセンティブの提供
  • 企業成長と個人の経済的利益の一致

導入のタイミングを考える3つの視点

① 資金調達・株価の上昇前

多くの専門家が推奨するのは、「初期フェーズで株価が低いうちに付与する」というタイミングです。理由は明快で、行使価格が低い方がストックオプションの経済的価値が高くなるため、受け取る側のモチベーションにもつながるからです。

また、税制適格ストックオプションの場合、行使価格=時価でなければ要件を満たさず、給与課税されてしまうため、時価が低いうちの付与が効果的です。

② 組織体制が固まりはじめた段階

ストックオプションは将来の企業価値に対する貢献への報酬であるため、中長期的に参画してくれるメンバーが揃ってきた段階での導入が望ましいです。組織体制が流動的なフェーズで濫発してしまうと、後の資本政策や持株比率に悪影響を及ぼす可能性もあります。

③ IPOやM&Aを見据えたステージ

IPO準備に入ると、証券会社や監査法人の指導により、適格要件の整備やベスティング条件(権利確定条件)などの制度設計を再構築する必要が出てくる場合があります。そのため、シリーズBやCの調達を終え、一定の成長ステージに達した段階で再検討するケースも多いです。

実務上の注意点

  • 株主総会の特別決議が必要
     新株予約権の発行には、原則として株主総会での特別決議が必要です(会社法236条等)。
  • 税制適格SOの場合は発行対象者・行使期間・価格設定などに厳格な要件あり
  • 発行時には時価評価が必要になるため、第三者評価レポートの取得も検討すべき
  • ベスティング(勤続年数等に応じた確定条件)の設計は慎重に行うべき

まとめ

ストックオプション制度の導入は、ベンチャー企業にとって経営戦略の一部であり、「いつ導入するか」によってその効果は大きく異なります。株価の安いうちに制度を設計することで、受益者の経済的メリットを最大化しつつ、企業としても税務・会計・ガバナンス上のリスクを最小限に抑えることが可能になります。

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