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新株予約権の「行使条件」、登記事項となる条件の範囲と記載例を実務目線で解説

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新株予約権(SO)

ストックオプション(新株予約権)を設計する際、
「当社の役員・従業員であること」「一定の期間経過後に行使可能」といった“行使条件”を設定することがあります。

これらは、制度設計上重要なインセンティブ管理手段ですが、会社法に基づき、
行使条件を「定めたとき」は、登記事項として登記簿に記載しなければなりません

本コラムでは、「どのような行使条件が登記対象になるのか」「補正されないための書き方とは」など、
現場で役立つ実務整理と記載例をご紹介します。

1.行使条件が登記事項になるのは「定めたとき」

会社法では、新株予約権に関する登記事項として、

「当該新株予約権の行使の条件を定めたときは、その条件」

とされています。
つまり、「条件を定めていなければ記載不要」「定めたならば必ず登記簿に記載」が原則です。

2.登記対象となる“行使条件”の代表例

条件例登記が必要か備考
行使時に会社の取締役・従業員であること必要よくある設計。在職要件として一般的
株式上場(IPO)後に行使可能必要条件発生が将来に依存する場合も記載要
一定期間(例:発行後2年間)経過後のみ行使可必要ベスティングに関する時限条件も対象
行使条件なし不要登記簿には「行使の条件」の欄自体が設けられない

3.登記簿の記載例(文例)

◎よくある文例(在職要件)

「新株予約権者は、当社の取締役、監査役、会計参与または従業員であることを要する。」

◎上場要件などの外部条件付き

「当社株式が金融商品取引所に上場された日以後に限り、当該新株予約権を行使することができる。」

◎時間制限型(ベスティング)

「新株予約権は、発行日から2年を経過した日以後に限り、行使することができる。」

4.実務での補正対象になりやすいNG文例と注意点

NG記載問題点改善例
「会社が定める条件による」抽象的すぎて登記事項とならない→ 明確な文言で具体化する
「代表取締役の承認を得たとき」主観的・恣意的な判断を要する条件は不可→ 客観的事実に置換できるか検討
「会社と合意した時点で」条件が文言として成立していない→ 合意要件ではなく事実ベースに修正

5.契約書との整合性と説明責任にも注意

  • 登記に記載された条件と、契約書に記載された行使制限が一致していないと、実務上のトラブルや株主・税務署からの指摘の原因になります
  • 登記はあくまで第三者に対する公示制度。会社内で合意した条件は、契約書側でも明記し、セットで管理する必要があります
  • 行使条件が税務上の報酬性判断にも影響するため、あいまいな設計は避け、条件文は合理的・説明可能な内容にすること

「行使条件を定めたときは必ず登記」

新株予約権の登記は、契約書・議事録・キャップテーブルと異なり、第三者(法務局や投資家)が直接確認できる唯一の公的記録です。

だからこそ、行使条件を設計する場合は、登記簿にどう記載されるかまで見越して明確な文言で設計すべきです。

「とりあえず在職要件つけたけど、登記してない」「契約書に書いてあるから登記不要」といった運用は、
登記懈怠・補正指示・将来の株主間トラブルの原因となりかねません。

ストックオプション(新株予約権)を設計する際、「行使できる条件」を付けるのは一般的です。
会社法では、「行使の条件を定めたときは、その条件を登記しなければならない」とされています。

当法人グループでは、実務に即した行使条件の記載方法、登記官との折衝、契約書との整合管理まで一括で支援しています。
「契約書や登記事項に書くべき条件とは?」「この文言で通るのか?」など、お気軽にご相談ください。