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新株予約権のどの内容が登記に記載される?登記事項と記載例から逆算する設計の勘所

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新株予約権(SO)

新株予約権(ストックオプション)を発行した際は、会社法に基づき2週間以内に登記を行う義務があります。
では、その登記簿には何が記載され、何が記載されないのでしょうか?

「行使価額は?」「対象者の名前は?」「個別の条件は?」など、登記事項と非登記事項の区別を明確にしておくことは、
社内のリスク管理や対外的説明において極めて重要です。

1.そもそも、新株予約権は登記簿のどこに記載される?

登記簿(履歴事項全部証明書)では、「新株予約権に関する事項」として、独立したセクションに記載されます。
これは、株式や役員の情報とは別枠で管理される項目です。

2.記載される主な登記事項一覧

以下は、商業登記規則第61条および登記実務に基づく代表的な登記事項です。

登記事項内容例
新株予約権の名称第1回新株予約権 など
発行数新株予約権〇個
株式の種類および数普通株式〇株と引換え可能 など
行使価額1株につき〇円
行使期間令和〇年〇月〇日〜令和〇年〇月〇日
取得条項の有無有(退職時は会社が取得可)等
発行日令和〇年〇月〇日

3.登記簿には「記載されない」情報もある

以下のような情報は、登記簿には記載されません

  • 新株予約権の引受人の氏名・住所(誰に付与したか)
  • 譲渡制限の有無
  • 新株予約権証券を発行する場合には、その旨
  • 記名式、無記名式証券の転換を禁止する場合には、その旨
  • 募集新株予約券付き社債を発行する場合には、社債の募集事項

→これらは契約書・発行要項で規定している内容であり、登記事項とは別物です。

4.実務でのよくある誤解とその対策

誤解実際対策
契約書に書いたから登記は不要登記義務は会社法・登記法上の法定義務発行日から2週間以内に必ず登記
引受人が誰かは登記を見ればわかる登記簿には記載なし管理台帳・株主説明資料で別途明示が必要

5.登記事項の設計から逆算したSOスキーム構築を

登記簿に記載される情報はあくまで「制度の外形」です。
一方、誰に・どのような条件で付与したか/どのような目的で運用するかは、契約レベル・社内管理レベルで明確にすべき情報です。

したがって、ストックオプションを発行する際は

  • 登記簿で公示されるべき情報
  • 契約書で内部統制すべき情報
  • 投資家や社内向けに説明すべき情報

三層構造で設計・管理することが重要です。

登記簿は“外から見える最低限の情報”である

新株予約権に関する登記は、法律上の義務であると同時に、キャップテーブルの信頼性・外部への情報提供に直結します。
しかし、登記簿に書かれている情報だけでは、付与対象者・譲渡制限の有無などの実態はわかりません。

だからこそ、登記事項と契約書を整合的に設計することが、リスク回避と制度運用の両面で不可欠なのです。

新株予約権の発行には、発行日から2週間以内の登記申請が義務づけられており、登記簿には制度の中核情報が記載されます。
しかし、「どこまで記載されるのか?」「契約書と登記の整合はとれているか?」といった基本的な確認が漏れている企業も少なくありません。

当法人では、設計・評価から登記手続きまでトータルでサポートしています。
「登記と契約がズレていないか不安」「登記事項の記載内容に問題がないか見てほしい」など、お気軽にご相談ください。