ストックオプション(新株予約権)の行使があった場合、
会社としては株式の発行が生じるため、商業登記が必要となります。
ただし、登記実務においては、「いつをもって株式発行とするか」「いつまでに登記する必要があるか」について、
誤解や処理漏れが生じやすいポイントでもあります。
本コラムでは、新株予約権行使後の株式登記に関する正しいタイミング管理と実務注意点を解説します。
1.新株予約権の行使により、株式が発行されるとは?
新株予約権の行使があった場合、
会社はその者に対し、株式を発行または自己株式を移転する義務を負います。
このうち「株式を発行する」ケースでは、
新たな株式が生まれるため、株式数の増加(発行済株式総数の増加)を登記しなければなりません。
2.株式発行の“効力発生日”=「払込日」
実務上、株式の発行は、新株予約権の行使者が行使価額を会社に払込んだ日=払込日に効力が生じます。
つまり、その日をもって
- 株式の発行が成立し
- 株主名簿に記載される権利が発生し
- 登記上の「発行日=変更日」として認定されます
3.登記は「効力発生日から2週間以内」が原則
株式を発行したときは、その日から2週間以内に登記しなければなりません。
登記事項 | 登記期限 |
---|---|
株式発行による発行済株式総数の変更 | 払込日から2週間以内 |
この期限を過ぎると、登記懈怠として過料(最大100万円)のリスクがあります。
4.よくある実務上のミスと対処法
よくある誤り | 問題点 | 対策 |
---|---|---|
登記を忘れていた | 登記簿と現実の株式数がズレる/法務局に補正指示 | SO行使管理表で発行実績を定期確認 |
1件ずつ登記して手間がかかる | SO行使が断続的にある会社に多い | 月単位でまとめ登記を検討(法律上可能) |
5.登記に必要な添付書類(主な例)
- 発行した際の株主総会議事録(または取締役会議事録)
- 払込を証する書面(預金通帳写しなど)
- 新株予約権行使証明書
※ストックオプション行使による株式発行では、発行決議は不要な点にも注意(発行済み新株予約権の行使によるため)。
ストックオプション行使時も「株式発行=登記要」
新株予約権の発行登記ばかりに目が向きがちですが、行使されたときの「株式登記」こそ実務での見落としが多い論点です。ストックオプションの設計・発行・管理のどのフェーズであっても、登記の連動処理は漏れなく対応しましょう。
当法人では、新株予約権の発行から行使・登記・株主名簿反映まで一貫してサポートしています。
「SO行使時の登記ってどうやるの?」「まとめて処理してもいい?」といった疑問も、ぜひお気軽にご相談ください。