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新株予約権原簿とは何か?記載事項と実務上の管理ポイントを整理

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新株予約権(SO)

新株予約権原簿とは何か?記載事項と実務上の管理ポイントを整理

新株予約権(ストックオプションや第三者割当型SOなど)を発行した後、見落とされがちなのが「新株予約権原簿」の整備です。

IPO準備企業やベンチャー企業では、発行設計や税務論点に注目が集まりやすい一方で、原簿管理が後回しになっているケースも少なくありません。しかし、会社法上は明確な作成義務があり、譲渡・行使・消滅時にも実務対応が必要となります。

本稿では、新株予約権原簿の法的位置づけ、記載事項、名義書換の実務を整理します。

新株予約権原簿とは何か?

新株予約権の基本構造

新株予約権とは、あらかじめ定められた条件に従い、将来、会社の株式の交付を受けることができる権利です(会社法第2条21号)。

典型例としては、
・役員・従業員向けストックオプション
・第三者割当型新株予約権
・新株予約権付社債(CB)
などがあります。

法的根拠

会社法第249条は、株式会社に対し新株予約権原簿の作成義務を課しています。

会社は、新株予約権を発行したときは、遅滞なく新株予約権原簿を作成しなければならない。

これは株主名簿と同様、権利関係を明確にするための法定帳簿です。

なぜ新株予約権原簿が重要なのか?

1. 権利者の確定

誰が、どの内容の新株予約権を、何個保有しているかを確定する機能があります。

特にIPO準備段階では、

  • 行使残数の確認
  • 潜在株式比率の算定
  • 税制適格要件の確認

といった局面で原簿の整備状況が問われます。

2. 譲渡時の対抗要件

新株予約権の譲渡において、原簿の名義書換が対抗要件となる場面があります(会社法第255条等)。

原簿未整備の状態では、譲渡の効力関係や帰属関係が不明確になるおそれがあります。

新株予約権原簿はいつ使うのか?

主な場面は以下のとおりです。

場面実務対応
新規発行原簿作成・初回記載
譲渡名義書換
行使残数管理
消滅(退職等)数量修正・備考管理

特にストックオプションでは、退職時の失効や一部行使など、継続的な更新管理が必要になります。

新株予約権の譲渡と名義書換の実務

新株予約権の譲渡は、証券発行の有無により扱いが異なります。

1. 新株予約権証券を発行している場合

記名式証券

  • 原簿の名義書換が必要
  • 譲受人単独で請求可能

無記名式証券

  • 原簿の名義書換不要
  • 証券の交付により効力発生

2. 新株予約権証券を発行していない場合

  • 原簿の名義書換が必要
  • 譲渡人・譲受人の共同請求

実務上は、証券不発行会社が多数であり、共同請求対応が必要となるケースが一般的です。

新株予約権原簿の記載事項とは?

記載内容は、発行形態によって異なります。

① 無記名式新株予約権証券を発行した場合

  • 証券番号
  • 新株予約権の内容および数

② 無記名式新株予約権付社債の場合

  • 社債券番号
  • 新株予約権の内容および数

③ 上記以外(記名式・証券不発行など)

最も一般的なケースです。

  • 新株予約権者の氏名・住所
  • 取得日
  • 証券番号(発行している場合)
  • 新株予約権の内容および数

特にストックオプションでは、

  • 権利行使価格
  • 行使期間
  • 取得条項
    などの「内容」部分を明確に記載しておく必要があります。

実務で起きやすい管理上の問題

1. 原簿が作成されていない

登記は完了しているが、原簿が存在しないというケースは散見されます。
これは会社法違反状態です。

2. 行使・消滅の反映漏れ

行使後も原簿が更新されていないと、潜在株式比率の算定に誤りが生じます。

3. IPO監査での指摘

監査法人から、

  • 原簿の不存在
  • 記載不備
  • 行使履歴との不整合

を指摘される事例もあります。

株主名簿との違いは?

項目株主名簿新株予約権原簿
管理対象株主新株予約権者
権利内容株式将来株式取得権
潜在株式含まない含む

資本政策の観点では、株主名簿だけでなく新株予約権原簿の管理が不可欠です。

まとめ、原簿管理は基礎資料

新株予約権原簿は、単なる事務帳簿ではありません。

  • 潜在株式の把握
  • 希薄化管理
  • IPO審査対応
  • 税制適格要件の確認
  • 譲渡実務の適法性確保

これらの前提となる基礎資料です。

新株予約権を発行しているにもかかわらず原簿整備が不十分な場合は、早期に整備状況を確認することを推奨します。

よくある質問(FAQ)

Q1:新株予約権原簿は登記すれば足りますか?

いいえ。登記とは別に、会社内部で原簿を作成・備置する義務があります。

Q2:ストックオプションでも必ず必要ですか?

はい。役員・従業員向けストックオプションも対象です。

Q3:Excel管理でも問題ありませんか?

法令上様式指定はありませんが、改ざん防止・履歴管理・IPO対応を踏まえた設計が必要です。

Q4:譲渡制限付きの場合も名義書換は必要ですか?

譲渡承認の有無とは別に、譲渡が成立した場合は原簿更新が必要です。

相談事例

事例:IPO準備中に原簿未整備が発覚

上場準備会社において、過去3回分のストックオプション原簿が存在せず、監査法人から整備を求められた事例があります。発行時点に遡って付与数・退職者分・行使履歴を再整理する必要があり、相当な時間を要しました。

発行時点から原簿管理を徹底しておくことが、結果としてコスト削減につながります。

新株予約権は、設計・税務・会計に注目が集まりがちですが、原簿管理という基礎的実務を軽視すべきではありません。

制度設計とあわせて、管理体制の整備まで含めて検討することが、実務担当者に求められる視点です。


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