新株予約権を発行する場合、まず募集事項を定める必要があります。募集事項には、次のような内容が含まれます。
- 新株予約権の対象者
- 新株予約権の行使時に発行される株式の数および種類
- 新株予約権の行使時に増加する資本金および資本準備金
- 新株予約権の割当日
- 新株予約権の行使価額
- 新株予約権の行使期間
- 新株予約権の取得条項(設定する場合)
- 払込方法(払込が不要な場合は、その旨)
新株予約権付社債を発行する場合には、社債の返済期限や使途など、社債に関する事項についても検討されます。
募集事項を決定する決議機関
募集事項をどの機関で決定するかは、会社の形態によって異なります。
- 公開会社
取締役会決議により、新株予約権の募集事項を決定することができます。 - 非公開会社
株主総会の特別決議が必要とされています。
なお、非公開会社で取締役会を設置している場合には、募集事項の決定を取締役に委任することができます。
新株予約権の申込みと割当
募集事項が決定された後、新株予約権の対象者に対して募集事項が通知されます。
通知を受けた対象者は、内容を確認したうえで申込みを行います。
申込みを受けた後、取締役会または株主総会の特別決議により、新株予約権の割当が決定されます。
有償発行の場合には、この段階で金銭の払込みが行われます。
新株予約権原簿の作成
新株予約権を発行した会社は、新株予約権原簿を作成する必要があります。
新株予約権原簿には、新株予約権の内容や数などが記載されます。
作成した新株予約権原簿は、本店に備え置くこととされています(会社法第249条)。
新株予約権発行の登記
新株予約権は、株式そのものではありませんが、将来的に株式となる可能性があるため、登記の対象とされています。
新株予約権を発行した場合には、割当日から2週間以内に、新株予約権発行の登記を行います。
なお、新株予約権については、発行時だけでなく、権利行使時にも登記が必要とされています。
行使期間と失効
新株予約権には、行使できる期間が設定されます。
行使期間を経過した新株予約権は失効します。
無償ストックオプション(税制適格)の場合には、
付与決議の日後2年を経過した日から、付与決議の日後10年を経過する日までの間に行使しなければならない
とされています(租税特別措置法第29条の2第1項第1号)。
まとめ
新株予約権の発行にあたっては、募集事項の決定、決議、申込みと割当、原簿作成、登記といった一連の手続を経る必要があります。
新株予約権は、社内向け・社外向けを問わず利用されますが、発行の際には、これらの手続を順序立てて整理することが重要です。
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