有償ストックオプションの設計項目を1つ1つ解説【経営者必読】

目次

有償ストックオプションの仕組み

会社が発行するストックオプション(コールオプション)を役員・従業員らが有償で購入して、あらかじめ定められた価格(行使価額)を支払い権利行使することによって、会社の株式の交付を受けられるというスキームを指します。

コールオプションとは
会社の役員や従業員が、あらかじめ定められた価格で将来会社の株式の交付を受けられる権利です。

有償ストックオプションの設計項目を解説

有償ストックオプションを発行するためには、諸条件の設計をする必要があります。
その主な設計項目は次の通りとなります。

・行使価格
・付与株数
・行使期間
・権利行使条件
・その他

それではそれぞれの項目を考えてみましょう。

行使価格とは

行使価格とは、正確には権利行使価格といい、株式の交付を受ける際の株価となります。
有償ストックオプションの行使価格は、株価(株式の時価)と同じとされるのが一般的です。
株価は上場会社では、市場株価になります。未上場会社であると、上場会社の様に市場株価が存在しないので、直近の増資価格を株価としたり、新たに株価算定を実施した株価を使用したりします。

なお、行使価格として、株価に10%程度のディスカウントをするケースも見受けられます。

POINT
上場会社は市場価格、未上場会社は株価を算定しなくてはいけない。

付与株数とは

付与株数とは、有償ストックオプションの権利行使により発行される株式数のことです。法的には付与株式数には規制はありませんが、授権資本(発行可能株式総数)の範囲内にしないと、有償ストックオプションの権利行使時に株式を発行できなくなってしまうので(自己株式を除く)、その点は注意が必要です。
また上場会社の場合、付与株数の上限の目安としては、発行済株式数の10%程度と言われています。

POINT
上場会社は付与株数の10%程度が上限

行使期間とは

行使期間とは、有償ストックオプションの権利行使は可能な期間を言います。権利行使期間は会社が任意に定められますが、上場会社であると2年から3年が多く見受けられます。未上場会社はIPO計画との兼ね合いもありますが、比較的長い権利行使期間を設定するケースが多いです。

POINT
上場会社は2-3年程度

権利行使条件とは

有償ストックオプションは、権利行使条件として株価条件や業績条件を付すケースがほとんどです。
株価条件とは、権利行使期間中に「株価が1,500円を超過した場合に行使可能となる」という条件を付す形です。具体的な株価水準は発行会社によって様々ですが、実務上は現状の株価の130%-150%に設定するケースが見受けられます。
業績条件は、「2022年3月期の連結営業利益が1,500百万円を超過した場合に行使可能になる」という条件を付す形です。具体的な業績指標(売上、営業利益、経常利益等)や、その水準は発行会社によって様々ですが、来期の業績予測の数字以上に設定するケースがほとんどです。

POINT
権利行使条件は、株価条件か業績条件のどちらか

その他

有償ストックオプションの設計でその他特筆すべきものとして、強制行使条件があります。
強制行使条件は、強制行使条項という「権利行使期間中に株価が一定水準下落した場合に、権利行使が強制される条項」における水準を示すものです。
こちらは有償ストックオプションの会計処理にも深くかかわりますので、今後どこかで説明しますね。

POINT
強制行使条件は、株価が一定水準下落した場合に権利行使が強制される条項となります。

まとめ

本日は、有償ストックオプションの設計項目を1つ1つ解説させていただきました。
当社では、会社の実情を踏まえた設計を行ってまいります。ストックオプションの発行をご検討中の方やストックオプションの設計に疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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