民事信託と商事信託の違いとは?信託型ストックオプションを発行する際のポイントとは
上場・未上場を問わずさまざまな企業で導入が進められている信託型ストックオプションですが、信託には、大きく分けて「民事信託」と「商事信託」の2つに分類することができます。
当然、信託型ストックオプションにおいても、「民事信託を利用した信託型ストックオプション」と、「商事信託を利用した信託型ストックオプション」のいずれを発行するかについて検討する必要がありますが、それぞれのメリットや特徴について十分に理解しておかないと、どちらを選択するかの決め手に欠けるところがあるでしょう。
このコラムでは、信託型ストックオプションにおける民事信託と商事信託の違いについて、わかりやすく解説していきます。
信託型ストックオプションとは?
信託型ストックオプションとは、発行したストックオプションを一度信託に預け、自社の業績への貢献度等に応じてストックオプションに交換できるポイントを役員や従業員等に付与し、信託期間満了時にそのポイント数に応じてストックオプションが割り当てられる、有償ストックオプションの一種です。
従業員に高額な報酬を支払えないスタートアップが、優秀な人材を確保するための一つの効果的な手段として、近年急速に利用が広まっているスキームです。
民事信託と商事信託の違い
民事信託と商事信託の違いは、次の通りです。
民事信託 | 商事信託 |
・受託者は、信託報酬を受け取ることができない ・受託者は、反復継続して信託を引き受けることができない | ・委託者は、受託者に対して信託報酬を支払う ・受託者は、反復継続して信託を引き受けることができる ・内閣総理大臣の免許等(信託会社)あるいは兼営の認可(信託銀行)のいずれかを受ける必要がある |
民事信託による信託型ストック・オプション発行のポイント
民事信託を利用した信託型ストックオプションの場合には、信託報酬を支払う必要がないため、低コストでSOを発行できるという利点があります。
一方、民事信託の場合には、「国内外の信託、特に信託会社によって設立されていない、あるいは管理されていない信託の透明性に関しては、課題がある」との指摘もありますが、たとえ商事信託を利用したとしても、マネー・ローンダリングに関する諸問題が解決されるわけではありません。
信託型ストックオプションで民事信託を利用する場合には、信託財産に属する金銭の管理方法や使途が明確であり、マネー・ローンダリングに該当すると判断される可能性はかなり低いと言えます。
まとめ
信託型ストック・オプションの導入を検討しているのであれば、民事信託および商事信託のいずれかを選択すべきか、十分に検討する必要があります。
ストックオプションについてのご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお気軽にお問い合わせください。