税制適格ストックオプションを適切に運用するためには、権利行使価額の設定方法を理解することが重要です。
とくに非上場企業では株価が市場で形成されていないため、どのように「時価」を決定するかが問題になります。
この点で実務上関係するのが、セーフハーバールールです。
セーフハーバールールとは何か
セーフハーバールールとは、一定の基準を満たした場合に、法的リスクを回避できる仕組みをいいます。
基準が曖昧な場合でも、あらかじめ示された方法に従うことで、
- 法令違反のリスクを軽減できる
- 判断の不確実性を下げる
という役割があります。
税制適格ストックオプションとの関係
税制適格ストックオプションでは、税制優遇を受けるための要件の一つとして、
- 権利行使価額が付与時の株価以上であること
が求められています。
この「株価」が不明確な場合、適正な行使価額の設定が難しくなります。
株価算定の方法と問題点
従来、非上場企業の株価は、
- 類似会社の株価
- 純資産価額
- 取引実績
などをもとに算定されてきました。
しかし、これらの方法は判断の幅があり、どの価額が適正か明確でない場合があります。
セーフハーバールールによる整理
セーフハーバールールの導入により、
- 財産評価基本通達に基づく評価方法
を用いて株価を算定することが認められています。
この評価方法には、
- 原則的評価方式
- 特例的評価方式
があり、客観的な基準で株価を算定することが可能になります。
特例方式による評価
特例方式では、資産と負債に基づく純資産価額を基礎として株価を算定します。
また、直前期末の数値を使用することもできますが、
- 付与日までの期間が長い場合
- 純資産が大きく変動している場合
には、仮決算を行う必要があります。
行使価額の変更に関する取扱い
税制適格ストックオプションでは、契約内容の変更が行われると、原則として税制適格の要件を満たさなくなる可能性があります。
ただし、
- セーフハーバールール導入前に設定された行使価額
については、適正な水準への見直しが認められるケースがあります。
会計処理との関係
ストックオプションは報酬として扱われるため、会計上は次の処理が必要となります。
権利付与時
この段階では権利が確定していないため、会計処理は行いません。
権利確定まで
権利確定までの期間にわたり、費用を計上します。
- 上場企業:公正な評価額
- 非上場企業:本源的価値(株価-行使価額)
を基準に計算します。
権利行使時
株式発行として処理され、資本金や資本剰余金として計上されます。
セーフハーバールール導入による影響
セーフハーバールール導入前は、
- 行使価額を高めに設定
- 本源的価値がゼロ
となるケースが多く、費用計上が行われない場合がありました。
導入後は、
- 株価を適正に算定できる
- 本源的価値が発生する
ため、費用計上が必要となるケースが増えています。
まとめ
税制適格ストックオプションにおいては、
- 行使価額が株価以上であること
- 株価の算定方法が明確であること
が重要です。
セーフハーバールールは、株価算定の基準を整理し、税務上の不確実性を軽減する仕組みです。
非上場企業では特に、評価方法と会計処理をあわせて整理することが求められます。
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