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税制適格ストックオプションと非適格ストックオプションの違いとは?—制度の比較と実務設計の考え方

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新株予約権(SO)

ストックオプション(新株予約権)の導入を検討する際、避けて通れないのが、
「税制適格」と「非適格」の違いです。

どちらも会社法上は同じ“新株予約権”ですが、税務上の取り扱いが大きく異なるため、
制度設計時に誤ると、受給者への課税タイミング・税率・源泉徴収の要否が大きく変わることになります。

本コラムでは、税制適格SOと非適格SOの違いをわかりやすく整理し、どちらを選ぶべきか判断するための実務的視点をご提供します。

1.制度の違いを一言で言うと?

区分税制適格ストックオプション非適格ストックオプション
税務上の取扱行使時は非課税 → 売却時に課税行使時に課税(給与課税)
課税区分譲渡所得(20%課税)給与所得(累進課税+社会保険)
課税タイミング売却時行使時
源泉徴収不要要(会社側に義務)
対象者制限取締役・従業員のみ(例外あり)制限なし(顧問・外注等もOK)
要件クリアの難易度高い(6要件すべて必要)なし

2.税制適格ストックオプションの6要件(代表例)

  • 会社の規模:上場企業または一定の非上場会社
  • 対象者:会社の取締役・従業員に限る
  • 権利行使期間:付与から2年以上10年以内
  • 年間の行使可能額:上限3億円(2023年改正後)
  • 権利譲渡の禁止
  • その他、行使価額の明示など所定の記載要件

※要件を一つでも満たさないと「非適格」とみなされます。

3.どちらを選ぶべきか?実務的視点からの判断軸

ケース推奨制度理由
従業員に中長期的インセンティブを持たせたい税制適格売却時まで課税されず、税率も低い
社外顧問や業務委託先に付与したい非適格対象者制限がないため
成果報酬・貢献対価として支給したい非適格事業報酬とみなされるため(給与性あり)
上場準備中で、制度を整理しておきたい税制適格(要設計)IPO対応、上場審査での信頼性確保

4.税務上の注意点とリスク

リスク対応策
適格要件を満たしていたつもりが、実は非適格だった全要件をチェックリスト化し、文書で管理する
非適格SOで源泉徴収を怠った行使時に課税漏れ+追徴の可能性あり
税制適格にこだわるあまり、対象者を限定しすぎる必要に応じて「適格+非適格」の併用設計を検討

まとめ:税制適格か非適格かは「目的×対象者×税務負担」で選ぶ

税制適格SOは、うまく使えば税務メリットが大きく、受給者にとっても有利な制度です。
ただし、設計と運用を誤ると非適格となり、思わぬ課税や手続漏れにつながります。

一方、非適格SOは対象者に制限がなく、柔軟な設計が可能ですが、会社側に源泉徴収義務や課税処理の負担が発生します。

ストックオプション制度は、「どちらが正しいか」ではなく、どちらが自社の人材戦略や税務・会計実務に適しているかで判断することが重要です。

税制適格SOは、受給者にとって税メリットが大きい一方、対象者や条件に制限が多く、制度設計には注意が必要です。
一方、非適格SOは柔軟に設計できる反面、行使時課税や源泉徴収義務など、会社側の対応負担が重くなります。

当法人では、税務・法務・登記・人事の観点から、最適なストックオプション制度の設計をご提案しています。
「適格と非適格、どちらが自社に合うかわからない」「併用できるの?」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。