税制適格ストックオプションの変更点とは?|令和5年度税制改正大綱の概要について
スタートアップ企業がストックオプション制度を十分に活用するために、「スタートアップ育成5か年計画」および「スタートアップ育成5か年計画ロードマップ」において税制適格ストックオプションの要件を緩和することが公表されました。
このコラムでは、税制適格ストックオプションの変更点について、わかりやすく解説していきます。
税制適格ストックオプションとは
税制適格ストックオプションとは、税制適格ストックオプションとは、税制の優遇を受けられる租税特別措置法第29条の2の要件を満たしたストックオプションのことです。
要件を満たすことで、権利行使時に生じる給与所得課税を発生させずに自社株を付与できるため、とくに従業員の給与に払う資金が困難なスタートアップ企業を中心として、利用されています。
税制適格ストックオプションの要件の変更点とは?
令和5年度の改正では、税制適格ストックオプションの要件における「権利行使期間」が変更となりました。
【令和5年度による税制ストックオプションの変更点】
変更前 | 変更後 |
「ストックオプションの付与決議から2年を経過した日から10年を経過する日まで」に権利を行使する必要 | 従来の要件に追加して、設立されて5年未満の未上場企業の場合は、「ストックオプションの権利の付与決議後2年を経過した日から15年を経過する日まで」に権利を行使すればいいとされた |
税制適格ストックオプションの適用要件が改正された背景
とくにスタートアップ企業におけるストックオプションの権利行使期間を伸ばすことで、ディープテックを中心としたスタートアップ企業が優秀な人材を確保しやすくすることを目的としておこなわれました。
ディープテックとは、「科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」と定義されている、最先端技術にかかわる産業です。
ディープテック産業は、事業化までに時間がかかるケースが多く、権利行使期間が従来のままでは、効果的にストックオプションを利用することができず、優秀な人材を確保できないという問題がありました。
今回の法改正により、ディープテック産業を扱うスタートアップ企業への優秀な人材の流動を促し、グローバル展開を含め、スタートアップ企業が長時間をかけて大きな成長をしていくことが期待されています。
まとめ
令和5年度の改正では、税制適格ストックオプションの要件における「権利行使期間」が変更となりました。
税制適格ストックオプションやファンドの組成、スキームに関するご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお気軽にお問い合わせください。