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税制適格ストックオプションの改正ポイントとは?令和6年度税制改正の全体像と実務上の留意点を解説

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新株予約権(SO)

2024年4月施行の令和6年度税制改正では、税制適格ストックオプション制度に対する重要な要件緩和が複数実施されました。
これにより、発行企業・権利者の双方にとって実務対応がしやすくなった一方、制度適用のための契約変更や帳簿整備が求められるケースもあるため、正確な理解とタイムリーな対応が不可欠です。

本コラムでは、令和6年度税制改正の主要改正点をテーマ別に整理し、非上場企業・スタートアップにとっての実務的インパクトを中心に解説します。

年間の権利行使価額の上限が3,600万円に拡大

これまで税制適格ストックオプションでは、年間1,200万円を超える権利行使価額は税制適格の対象外とされていましたが、今回の改正により最大3,600万円まで引き上げられました。

【実務上のポイント】

  • 1人あたりの付与可能なSO数が大幅に増加(従来の3倍)
  • 早期行使が可能になり、IPOやM&Aのタイミングに柔軟に対応
  • 2024年3月31日以前の契約も、12月31日までに契約変更すれば新制度に適用可

※注意:限度額は「行使価額ベース」の上限であり、複数社からのSO付与も合算対象。全体の上限超過は非適格化リスクあり。

株式の保管委託要件が緩和―自社管理が可能に

従来は、税制適格要件の一つとして、証券会社等による株式の保管(専用口座)が義務付けられていましたが、今回の改正により、一定条件のもと発行会社自身による管理も選択可能になりました。

【自社管理が認められる要件】

  • 譲渡制限株式であること
  • 発行会社が帳簿等により適切に管理を行うこと

【実務上のポイント】

  • 非上場会社において、M&A時の柔軟な管理が可能
  • 譲渡制限の解除後にIPOが中止された場合などは非適格リスクが生じうる
  • 管理帳簿の備付、「特定株式等の異動状況に関する調書」提出義務あり(毎年1月末)

外部協力者への付与要件が緩和―「社外高度人材」の定義拡大

令和6年度改正では、スタートアップ企業が社外の有能人材(高度人材)にSOを付与するための要件が大幅に緩和されました。

【主な改正内容】

  • 教授・准教授・上場企業等の重要使用人を新たに社外高度人材に追加
  • 実務経験や成果要件の数値基準を柔軟化
  • 認定新規中小企業者等の要件(資本金・従業員数)も廃止

【実務上のポイント】

  • 外部のアドバイザー・開発支援者にも税制適格SOが利用しやすくなる
  • 今後のオープンイノベーション戦略の中核施策として期待

第4章:行使価額の「特例方式」明確化―未上場株式評価の柔軟化

2023年7月の国税庁Q&Aにより、未上場企業のSO付与時の行使価額算定において、財産評価基本通達の評価方式を活用できる旨が明示されました。

【主なポイント】

  • 契約時点での株価評価に配当還元方式・純資産方式等の「特例方式」選択が可能
  • 評価額が著しく低くなる場合、行使価額を1円で設定可能なケースも存在
  • ただし、会計上は行使価額と評価額の差額を株式報酬費用として計上する必要あり

既発行契約の改正適用には「2024年12月末までの契約変更」が必要

令和6年度改正の主要改正点(①行使価額上限引上げ、②自社管理の選択)は、2024年3月31日以前に付与済の契約にも適用可能です。

【対応が必要な条件】

  • 2024年12月31日までに、割当契約の内容を改正後の形式に変更
  • 具体的には、付与契約書を補充・修正し、適格要件の再定義が必要

損金算入の原則―税制適格SOは損金不算入

税務上、税制適格ストックオプションについては、会社側で損金算入不可
これは行使時に権利者が給与課税を受けないため、対応する法人側費用も認められないという論理です。

一方、税制非適格SOの場合は、給与所得として課税されるため、発行会社でも対応する費用として損金算入が可能です。

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