税制非適格ストックオプションは、権利行使時に課税が生じる点が特徴ですが、実務上の論点は「在職中」だけにとどまりません。
むしろ、退職後に権利行使が行われる場合の取り扱いは、企業側・個人側ともに整理が必要になります。
本稿では、退職後の権利行使に焦点を当て、税務上の扱いと実務上の留意点を整理します。
1.在職中と退職後で何が変わるのか
税制非適格ストックオプションは、原則として権利行使時に課税が生じます。
ただし、その所得区分は一律ではなく、
- 在職中の行使
- 退職後の行使
で扱いが変わる可能性があります。
2.在職中の権利行使
在職中にストックオプションを行使した場合、その経済的利益は通常、給与所得として扱われます。
この場合、
- 会社が源泉徴収を行う
- 年末調整や給与課税の枠内で処理される
という流れになります。
企業側にとっては、行使時の株価と行使価額との差額を把握し、給与として処理する必要があります。
3.退職後の権利行使
一方、退職後に権利行使が行われた場合は、在職時と同じ整理にならないことがあります。
退職後は、
- 雇用関係が終了している
- 給与としての性質が弱まる
ため、所得区分が異なる扱いとなる可能性があります。
この場合、源泉徴収が行われないケースも想定され、個人が自ら確定申告を行う必要が生じます。
4.確定申告の必要性
税制非適格ストックオプションでは、課税タイミングが複数あるため、確定申告の要否も状況により変わります。
特に退職後の権利行使では、
- 源泉徴収がされない
- 所得区分が給与所得以外になる可能性
があるため、原則として確定申告が必要となる場面が生じます。
5.売却時の課税は別途発生する
退職後であっても、株式を売却した場合には譲渡所得課税が生じます。
つまり税制非適格ストックオプションでは、
1.権利行使時
2.株式売却時
の2段階で課税が生じる構造は変わりません。
6.企業側で整理しておくべき事項
退職後の権利行使を想定する場合、企業側でも事前に整理しておくべき事項があります。
- 退職者への説明体制
- 行使時の株価算定方法
- 調書提出の有無
- 問い合わせ対応
特に、退職後は会社によるサポートが限定されるため、制度設計時点での整理が重要になります。
7.制度設計上のポイント
税制非適格ストックオプションは設計自由度が高いため、
- 退職後の行使を認めるか
- 行使期間をどう設定するか
といった点を契約で明確にしておく必要があります。
退職後も行使可能とする場合には、税務・実務負担が増えることを前提に設計することが求められます。
まとめ
税制非適格ストックオプションは、在職中だけでなく退職後にも論点が広がる制度です。
- 在職中は給与課税・源泉徴収
- 退職後は確定申告が必要となるケース
といった違いが生じます。
制度設計の段階では、付与条件や行使価格だけでなく、退職後の取り扱いと税務対応まで含めて整理することが重要です。
ストックオプションの導入に関するご依頼・ご相談
ストックオプションの導入に関するご依頼・ご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。
