非上場企業では市場価格が存在しないため、特定の時点における株式価値を算定する必要があります。これが「株価算定」です。
株価算定は、M&A・事業承継・ストックオプション発行など多くの場面で不可欠となり、適切な手法を選ぶことが重要です。
株価算定が必要となる主な場面
- M&A(買収価格の決定)
- 事業承継・相続
- 外部投資家からの資金調達
- ストックオプションや新株予約権の発行
- 第三者割当増資や株主割当増資
- 株式譲渡・贈与や少数株主からの買取
株価算定の代表的な手法
(1) インカム・アプローチ
将来の収益やキャッシュフローを基礎に価値を算定。
- DCF法
- 収益還元法
- 配当還元法
将来の成長性を評価できる一方、予測の不確実性に影響されやすい特徴があります。
(2) マーケット・アプローチ
市場や類似企業との比較を基礎に価値を算定。
- 市場株価法
- 類似会社比較法(マルチプル法)
- 類似取引比較法
客観性が高い一方、適切な比較対象が見つからない場合は適用が難しくなります。
(3) ネットアセット・アプローチ
純資産額を基礎に価値を算定。
- 簿価純資産法
- 時価純資産法
- 再調達原価法
- 清算価値法
シンプルで算定が容易ですが、将来の成長性は反映されません。
株価算定にかかる費用と流れ
- 費用の目安:50万〜200万円程度(財務諸表等の複雑さにより変動)
- 流れ
- 目的の確認
- 必要資料の準備(登記簿謄本、財務諸表、事業計画書等)
- 専門家による算定作業
- 株価算定書の作成
実務上の留意点
- 手法ごとのメリット・デメリットを理解し、複数手法を組み合わせることが望ましい
- IPOや増資など、第三者の目に触れるケースでは、客観性と納得感を重視した算定が求められる
- 専門家の実務経験によって結果の信頼性が大きく変わるため、依頼先の選定が重要
まとめ
非上場企業の株価算定は、場面ごとに最適な手法を選び、複数のアプローチで裏付けをとることが不可欠です。
誤った算定や恣意的な評価は、取引先・投資家・株主からの信頼を損なう要因となり得ます。
正確かつ公正な株価算定を行うことが、資本政策の出発点であるといえます。
株価算定に関するご依頼・ご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。