ストックオプションとは?新株予約権との違い!無償SOの課題と有償SOでの解決策、ポイントなどを解説

目次

ストックオプションとは?新株予約権との違い

ストックオプションとは、会社法で規定する新株予約権(会社法第236条)の一種です。

  会社法上の「新株予約権」は、第三者に対して有償で発行する資金調達の手段を指します。
 これに対して、将来の企業価値向上に応じたインセンティブかつ報酬として発行会社の役職員に対して、無償で発行される新株予約権(コールオプション)をストックオプションといいます。

コールオプション
→会社の役員や従業員が、あらかじめ定められた価格で将来会社の株式の交付を受けられる権利です。

なぜストックオプションを発行するのか

従業員・役員の士気・モチベーションアップ

 従業員・役員らに対して生株をあげるのではなく、事業への貢献度に応じたリターンが得られるように設計したストックオプションを発行します。行使価格が100円のストックオプションを有していた場合、株価は120円よりも150円の方が、経済的便益は当然大きくなります。
 ストックオプションを付与された従業員・役員らは自分が頑張って働けば働く程企業価値があがり自分のもつストックオプションの価値もあがっていくので、従業員の士気・モチベーションアップにもなります(目の前の人参効果を目的として発行します。)。

付与された役職員は、株価又は業績に対して強い達成責任を持ち株価等への効果が期待できます。

優秀な人材採用にも活躍

 ベンチャー企業の人材採用の魅力の1つにもなります。会社が成長する前段階においては、優秀な人材を確保したくても、その人材に多額の給与を出すことができません。そこで、会社の将来の企業価値向上を担保に、優秀な人材に対して、ストックオプションを付与することにより、今は多額の給与を出せなくても、事業成功の見込みがあるという下準備さえしっかり出来ていれば、優秀な人材採用に活用することが出来ます。

今は資金がなくても将来の企業価値向上が見込まれればストックオプションを付与することによって優秀な人材の確保をすることが可能となる。

インセンティブとしての効果をあげるための行使条件

 インセンティブ効果をあげるため、次のような行使条件を付加して設計します。
 これによって会社への強いコミットメントを引き出すことが出来ます。

・将来一定の「株価」水準を達成しなければ行使が出来ない。
・将来一定の「業績」水準を達成しなければ行使が出来ない。
・発行会社に「在籍」していなければ行使が出来ない。

ストックオプションの行使が可能時点において在籍している必要があるなどの条件をつけることによって優秀な人材流出を防ぐ効果も期待できる。

有償ストックオプションと無償ストックオプション

 ストックオプション発行(付与)時に有償で発行されるストックオプションを有償ストックオプションといいます。この発行価格が無償のものを無償ストックオプションと言います。

 資金が潤沢ではないベンチャー企業でもストックオプションを活用することによって、優秀な人材の確保や従業員・役員らの士気モチベーションアップを図ることが出来るなど様々な魅力があります。

 ただし、無償ストックオプションの場合は、無償で付与できる故に、税制上「給与」とみなされて、権利行使時に給与課税(最高税率55%)が適用されます。税制適格要件を満たす場合には、税率を下げることが出来ますが、この税制適格要件も条件は非常に厳しいものとなります。

参考:無償ストックオプションとは?税制適格要件とメリット・デメリットを解説

有償ストックオプションとは

 ストックオプション発行時に、従業員・役員らが払込(投資)を行うため、上述のように給与とはみなされず、金融商品とみなされます。そのため、税率は、譲渡課税(最大20%程)のみが課されます。

有償ストックオプションで解決する無償ストックオプションの課題

(1)税制適格要件を満たさなければ最大55%累進課税がされる。不本意に1度でも適格要件から外れてしまった場合も同様 

 有償ストックオプションであれば、税制適格要件を満たさなくても譲渡課税(最大20%程)となります。上述の通り有償ストックオプションは発行時に払込(投資)を行いますので、「金融商品の購入」とみなされます。税制適格要件を満たさない場合であっても行使時点で課税されることはありません。

(2)税制適格要件を満たす無償ストックオプションでは付与株式数に限界がある

 税制適格要件を満たす無償ストックオプションの場合、税制適格要件の1つに「権利行使者の権利行使価額の合計額が年間1,200万円以下」とする条件がつくため、大量に付与することができません。また大口株主への付与もできないため、オーナー社長等への付与も難しいです。
 有償ストックオプションであればこのような条件はありません。

(3)無償であるが故に実感がない場合、最大の魅力であるインセンティブ効果が得られない恐れがある

 無償で付与された従業員の中には、何となく受取り、そのありがたみが分からなかったり、付与された実感が沸かず、結果として企業価値向上に繋がらない恐れがあります。故に、従業員のストックオプションへの理解を深める必要がありますが、中々簡単ではありません。
 有償ストックオプションであれば、従業員・役員は自らの判断で払込(投資)を行うため、無償と比較するとより強いコミットメントを引き出すことが可能です。

有償ストックオプション発行時の注意点

 有償ストックオプションの発行価格の算定根拠は必ず説明が出来るものでなければなりません。発行価格は設定する条件次第で合理的範囲内で調整を行うことが可能であり、この点が設計時の肝となります。
 発行価格算定は複雑な数理計算が必要となります(この点は、ストックオプション発行を専門に扱う当社でご相談承ることも可能です)。

まとめ

 本日はストックオプションとは何か、新株予約権との違いであったり、無償ストックオプションの課題解決に寄与する有償ストックオプションについてご紹介させていただきました。有償ストックオプション発行における重要なポイントはやはり発行価格になります。
 当社では、会社の実情を踏まえた設計を行ってまいります。ストックオプションの発行をご検討中の方やストックオプションの設計に疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次