発行決議と登記の適正性
- 株主総会・取締役会での決議方法が適法か
- 登記事項(行使価額・行使期間・行使条件等)が決議内容と一致しているか
- 補正や更正登記が多い場合は「内部管理体制に不安あり」と評価されることも
IPO審査では「形式的に正しいか」以上に、内部統制が整っているかを見られます。
税制適格要件の充足
- 行使価額が発行時の株価以上か
- 年間行使価額上限(令和6年改正で最大3,600万円)に収まっているか
- 譲渡禁止・行使期間等の要件を満たしているか
税制非適格SOが混在していても違法ではありませんが、対象者ごとに合理的な設計根拠が説明できるかが問われます。
会計処理の適正性
- 株式報酬費用の計上が公正価値ベースで正しく行われているか
- セーフハーバー評価を採用した場合、税務と会計の差異をどう処理しているか
- 監査法人との合意が得られているか
IPO審査では「利益操作の余地がないか」もチェック対象。費用計上を回避するための不自然な設計は指摘されやすいです。
インセンティブ設計の合理性
- 付与対象者の範囲が合理的か(創業メンバー偏重ではないか)
- 行使条件(業績連動・勤続年数など)が経営計画と整合しているか
- IPO後の潜在株式比率が15%を超えない水準に収まっているか
付与目的と対象範囲の一貫性が、審査では強く問われます。
開示資料の整合性
- 有価証券報告書・Ⅰの部・Ⅱの部におけるSO情報の記載が一致しているか
- 新株予約権原簿と登記内容の齟齬がないか
- 税制適格・非適格の区分が明確に開示されているか
開示漏れ・記載不統一は審査で最も嫌われるポイントです。
まとめ
IPO審査では、ストックオプションの
- 発行手続の適正性
- 税制適格要件の充足
- 会計処理の妥当性
- インセンティブ設計の合理性
- 開示資料の整合性
が総合的にチェックされます。
IPO準備企業にとっては、制度設計時から法務・税務・会計を横断的に検証し、監査法人や証券会社と早期に合意形成を図ることが不可欠です。
