新株予約権は、従来の資金調達やストックオプションの枠を超え、M&Aの現場でも柔軟に活用されています。
新株予約権は構造がシンプルに見えますが、条件設定の幅が広く、会社の事情に応じたスキームを設計できる点に特徴があります。
本稿では、元コンテンツに記載された範囲のみを使い、M&Aスキームに利用される新株予約権の種類と、スキーム構築時の実務的な考え方を整理します。
1 M&Aで用いる新株予約権の種類とは
M&Aスキームで利用される新株予約権は、基本的には資金調達型の新株予約権と大きな差はありません。
会社法236条が定める事項について決定し、必要な条件を整える点は共通です。
ただし、M&Aで特徴的なのは次のポイントです。
● 権利行使価格の設定・調整
権利行使価額の調整は、スキームを柔軟に運用するうえで重要な役割を果たします。
発行会社の事情に応じて、行使価額の修正を可能とする条項(行使価格修正条項付新株予約権)を活用する場面もあります。
● 取得条項の活用
取得条項を設けておけば、予定していたシナジーが得られないケースなどで、発行会社が新株予約権を買い取ることで調整できます。
新株予約権の条件設定が、リスク回避につながる仕組みです。
2 複数回にわけた発行が可能
新株予約権は1回だけでなく、複数回に発行するスキームを採用できます。
これにより、買収側は段階的に持株比率(出資比率)を高めることが可能です。
- 初期段階で全株式を取得しない
- シナジー効果や業務提携の進展を見ながら次のステップへ進める
- 行使しない選択肢を設けることもできる
など、状況に応じた進行が実現します。
3 新株予約権を軸にしたスキーム構築
M&Aのスキームは企業ごとに異なり、新株予約権の活用もその一つです。
新株予約権だけで完結させる方法もあれば、他の手法と組み合わせて設計するケースもあります。
●メリットの活用
- 多額の現金を一度に準備しなくてよい
- 条件を弾力的に設定できる
- リスクに応じて調整できる
といった特徴を踏まえ、被買収側が第三者割当で新株予約権を発行し、買収側が段階的に引き受ける形が典型例となります。
●留意点
特定の第三者に対して新株予約権を発行する場合、状況によっては問題が生じる可能性があります。
したがって、メリットを活かしつつ、案件の性質に応じて慎重に設計する必要があります。
4 まとめ
新株予約権は、条件設計の自由度が高いため、M&Aにおける柔軟なスキーム構築を可能にする手法です。
- 権利行使価額を調整できる
- 取得条項によりリスク回避が可能
- 複数回の発行で段階的な買収ができる
- 多額の資金を一度に要しない
といった特徴は、買収側・被買収側の双方にとってメリットがあります。
新株予約権はもともと買収防衛策に用いられることも多い手法でしたが、近年は買収を進める側にとっても有効な選択肢となっています。
各企業の事情に応じ、適切な条件設定とスキームの組立てが重要です。
