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M&Aにおけるストックオプションの取扱い、失効・承継・対価交付の整理

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新株予約権(SO)

ストックオプション(SO)は、従業員や役員にとって将来の報酬インセンティブであり、会社にとっては優秀人材を確保する重要な制度です。
しかし、M&A(合併・株式交換・事業譲渡など)が発生すると、既存のSOをどう扱うかが大きな課題となります。

本コラムでは、M&AにおけるSOの主な取扱いパターンを整理し、実務上の注意点を解説します。

失効(消滅)させるケース

M&Aによって消滅会社や子会社となる場合、

  • 行使期間中でも未行使SOを失効させる という取り扱いが選ばれることがあります。

メリット

  • 買収後の資本政策がシンプルになる
  • 潜在株式比率を整理できる

デメリット

  • 権利者にとっては報酬喪失 → 労務モチベーション低下リスク
  • 裁判等でトラブルになる可能性

失効を選ぶ場合は、金銭補償や代替報酬を用意するのが一般的です。

承継(新会社SOに引き継ぐ)ケース

合併や株式移転などでは、

  • 消滅会社のSOを存続会社・親会社のSOへ承継させる 方法が用いられます。

メリット

  • 権利者のインセンティブを維持できる
  • 公平性を担保しやすい

デメリット

  • 株価・行使価額・株数をどう調整するか複雑
  • 新旧契約間で権利内容に齟齬が生じやすい

代表的なのは株式交換比率に応じてSOの行使条件を修正し、承継先で継続付与する方法です。

対価交付(買収対価と引換えに消滅)させるケース

M&A対価の一部としてSOを買い取る、あるいは代替の株式・金銭を交付するケースです。

  • 例:未行使SOを「時価評価額」で買い取る
  • 例:存続会社の株式を代替交付

メリット

  • 権利者の経済的利益を確保しやすい
  • トラブル回避につながる

デメリット

  • 対価算定方法に不満が出やすい
  • 公正価額算定に専門家意見が必要

実務上のチェックポイント

  1. 契約書確認
    • SO付与契約・株主総会決議で、M&A時の取扱い(失効・承継・買取条項)がどう規定されているか確認
  2. 株主・権利者への説明
    • 説明不足は労務紛争リスクにつながる
  3. 税務処理
    • 買収時に金銭補償をする場合は給与課税となるか譲渡課税となるかの整理が必要
  4. 開示・審査対応
    • 上場企業の場合、有価証券報告書・臨時報告書への開示が必要

まとめ

M&Aにおけるストックオプションの取扱いは、

  • 失効(消滅)
  • 承継(新会社SOへ引継ぎ)
  • 対価交付(買収対価に組込む)

の3パターンが中心です。
選択肢によっては権利者の不利益が生じるため、法務・税務・会計を横断した調整と、従業員への丁寧な説明が不可欠です。