【ストックオプションの行使タイミング】いつが最適?行使期間や手続きの流れを解説

ストックオプション(SO)は、スタートアップ企業を中心に、役員や従業員のインセンティブ制度として広く活用されています。しかし、いざストックオプションを付与されても、

  • いつ行使すればよいのか?
  • 行使の手続きはどうすればよいのか?
  • 行使時や売却時に注意すべきポイントは?

といった疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、ストックオプションの行使タイミングや具体的な手続き、注意点について詳しく解説します。

目次

ストックオプションとは?

ストックオプションとは、企業の役員や従業員が、事前に決められた価格(行使価額)で自社株を購入できる権利のことです。

例えば、「行使価額50円のストックオプション」を付与された場合、将来の株価が100円や200円になったタイミングで行使すれば、差額分の利益を得ることが可能になります。

しかし、もし株価が50円より下がってしまった場合、行使するメリットがなくなるため、ストックオプションは行使せず、そのまま失効させるという選択もできます。

ストックオプションの基本について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
▶︎ ストックオプションの仕組みとメリット・デメリットを徹底解説!

ストックオプションの行使タイミングは?

ストックオプションを行使するベストなタイミングは、「行使価額」よりも「現在の株価」が上回ったときです。

例えば、
・ 行使価額:50円
・ 現在の株価:150円
の場合、株価150円の株を50円で取得できるため、1株あたり100円の利益を得られます。

一方で、
・ 行使価額:50円
・ 現在の株価:30円
のように、株価が行使価額を下回っている場合は、行使しても損失が発生するため、行使を見送るのが一般的です。

権利行使期間に注意!

ストックオプションには、あらかじめ「権利行使期間」が設定されています。この期間を過ぎると、たとえ株価が上昇していても、ストックオプションは失効してしまいます。

例えば、税制適格ストックオプションの場合、「付与から2年以上10年以内」 という行使期間が法律で定められています(租税特別措置法29条の2)。

企業ごとに細かい行使条件が異なるため、ストックオプションを付与された際には、行使可能期間をしっかり確認しておきましょう。

▶︎ 税制適格ストックオプションの詳細はこちら

ストックオプションを行使して得た株式を売るタイミングは?

ストックオプションを行使した後は、通常の株式と同じように自由に売却できます。ただし、売却タイミングによっては税金面での影響があるため注意が必要です。

売却タイミングのポイント

  1. 株価がピークのときに売却する
    • 株価が最も高いタイミングで売却することで、最大の利益を得られます。
  2. 税金対策を考慮する
    • 税制適格ストックオプションの場合、売却時のみ約20%の譲渡課税(分離課税)がかかります。
    • 税制非適格ストックオプションの場合、行使時に最大55%の給与課税が発生するため、売却時の手取りが少なくなる可能性があります。

▶︎ ストックオプションの税金について詳しく解説

ストックオプションの行使~売却の手続き・流れ

ストックオプションの行使から株式売却までの流れは、以下の通りです。

ストックオプション行使の手続き

  1. ストックオプションの付与
    • 会社からストックオプションを付与される
  2. 行使期間の確認
    • 行使可能期間がいつまでか確認する
  3. 行使手続きの申請
    • 会社または指定の信託銀行へ行使の申請を行う
  4. 行使価額の支払い
    • 自社株購入のため、行使価額を支払う
  5. 株式の発行処理
    • 企業側で手続きが行われ、株式が付与される
  6. 証券口座へ株式が入庫
    • 証券会社の口座に株式が反映される
  7. 任意のタイミングで売却
    • 市場価格を見て、最適なタイミングで株式を売却

ストックオプション行使における注意点

税金の影響を理解しておく

ストックオプションの行使や売却時には、種類ごとに異なる税金が発生します。

種類行使時の課税売却時の課税
税制適格ストックオプションなし約20%(譲渡課税)
税制非適格ストックオプション最大55%(給与課税)約20%(譲渡課税)
有償ストックオプションなし約20%(譲渡課税)
信託型ストックオプション最大55%(給与課税)約20%(譲渡課税)

税負担を最小限にするために、ストックオプションの種類と税制を理解しておきましょう。

▶︎ ストックオプションの税金対策について詳しく解説

退職時の扱いに注意

多くの企業では、退職するとストックオプションが失効するケースがあります。

  • 退職前に権利行使を済ませておく
  • 会社と交渉し、退職後も行使可能か確認する

といった対策が必要です。

まとめ

ストックオプションの行使は「行使価額 < 現在の株価」になったタイミングがベスト
行使期間を過ぎると失効するため注意が必要
売却タイミングは市場環境や税金を考慮する
税金負担を最小限にするために、ストックオプションの種類を理解しておく

ストックオプションは大きなリターンを得られる可能性がある一方で、適切なタイミングで行使・売却しないとメリットが薄れてしまいます。

制度の仕組みを正しく理解し、最適なタイミングで活用しましょう。

新株予約権に関するご相談は、ストックオプションアドバイザリーサービス株式会社までお問い合わせください。

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