近年、多くの企業が役員・従業員のインセンティブとして株式報酬制度を導入しています。
しかし、「株式報酬にかかる税金はどうなるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
株式報酬は種類ごとに課税タイミングや税率が異なり、適切な理解が必要です。
また、場合によっては源泉徴収や確定申告も必要になります。
本記事では、株式報酬の課税タイミング・種類・注意点を詳しく解説します。
株式報酬とは?課税対象になる理由
株式報酬とは
株式報酬とは、会社の株式やその購入権を役員・従業員に付与する制度です。
一般的に、以下のようなインセンティブ制度として活用されます。
- 役員の業績向上意欲を高める
- 優秀な人材の流出防止
- 企業の長期的な成長と株主利益の一致
株式報酬が課税される理由
税法上、「経済的利益」を受けたとみなされると課税対象になります。
株式報酬は、現金ではなく株式で報酬を受け取る形ですが、価値のある資産を得るため課税対象となります。
株式報酬の課税タイミングと種類
株式報酬の課税タイミングは、大きく3つのフェーズに分かれます。
① 権利付与時(通常は非課税)
株式報酬を「受け取る権利」を与えられた時点では、まだ確定した報酬ではないため、基本的に課税されません。
② 権利確定時(給与所得として課税)
一定の条件(勤務年数や業績目標など)を満たして権利が確定した時点で、給与所得として課税されます。
会社は、源泉徴収を行う必要があります。
例
・ 譲渡制限付株式(RS)が解除された場合
・ストックオプションを行使した場合(税制非適格の場合)
③ 株式売却時(譲渡所得として課税)
確定した株式を売却すると、その売却益に対して譲渡所得税(約20%)が課せられます。
株式報酬の種類別 課税ルール
株式報酬の種類によって、課税タイミングや税率が異なります。
① 譲渡制限付株式(RS)
RS(リストリクテッド・ストック)は、一定期間譲渡制限がかかる株式です。
譲渡制限が解除された時点で「給与所得」として課税されます。
・ 課税タイミング:譲渡制限解除時(給与所得)
・ 売却時:売却益が出れば譲渡所得課税(約20%)
② 譲渡制限付株式ユニット(RSU)
RSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)は、条件を満たした時点で株式を付与される制度です。
「給与所得」として課税されます。
・ 課税タイミング:株式付与時(給与所得)
・ 売却時:売却益が出れば譲渡所得課税(約20%)
③ ストックオプション
ストックオプションには、税制適格と税制非適格の2種類があります。
税制適格ストックオプション
税制適格ストックオプションは、一定の条件を満たすと税負担を軽減できます。
・ 課税タイミング:売却時(譲渡所得20%)
・ 権利行使時の課税なし(給与所得にならない)
メリット:税負担が少なく、キャピタルゲインを最大化できる
税制非適格ストックオプション
税制非適格ストックオプションは、権利行使時に給与所得として課税されます。
・ 権利行使時:給与所得として課税(最高55%)
・ 売却時:譲渡所得として課税(約20%)
デメリット:権利行使時に多額の税金が発生する可能性あり
④ 業績連動型株式報酬(PS / PSU)
業績に応じて株式が付与される制度で、付与時に給与所得として課税されます。
・ 課税タイミング:株式付与時(給与所得)
・ 売却時:売却益が出れば譲渡所得課税(約20%)
株式報酬にかかる税金の支払い方法
① 源泉徴収
給与所得として課税される場合、会社が源泉徴収を行う必要があります。
企業が給与として支払う以上、会社側で税金を差し引いて支払う義務があります。
② 確定申告
以下のケースでは、個人で確定申告が必要です。
・ 株式売却で20万円以上の譲渡益が発生した場合
・ 海外勤務者など、会社が源泉徴収を行わないケース
確定申告を忘れると、無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があるので注意しましょう。
株式報酬に関する注意点
- 税制適格ストックオプションを活用すると、税負担が軽減できる
- 給与所得として課税される場合、源泉徴収が発生する
- 株式売却時は譲渡所得(約20%)が課税される
- 確定申告を忘れると追徴課税が発生するリスクあり
まとめ
株式報酬は、種類によって課税タイミングや税率が異なるため、適切な税務処理が求められます。
- 譲渡制限付株式(RS / RSU) → 権利確定時に給与所得
- ストックオプション(税制適格) → 売却時に譲渡所得のみ
- ストックオプション(税制非適格) → 権利行使時と売却時に課税
- 業績連動型株式報酬(PS / PSU) → 付与時に給与所得
株式報酬の受け取りや売却を予定している方は、税務処理や確定申告の準備を早めに進めることが重要です。