ストック・オプションの会計処理の基本
ストック・オプションの会計処理の基本的な考え方
ストック・オプションは役員や従業員のモチベーションアップを図り、企業業績を上げることで、企業の価値を高め、株主にも貢献できる制度です。
ストック・オプションの会計処理のベースとなる、基本的な考え方をまず押さえておきましょう。
第一に、付与対象者である役員や従業員の役務や労務の提供と、ストック・オプションは等価交換となります。
第二に、等価交換であることから、役務や労務の提供の価値をストック・オプションの付与日の価値で測定します。
第三として、ストック・オプションの付与日の価値を、役務や労務の提供期間に配分して費用計上することが必要です。
第四に、企業はストック・オプションの付与対象者である役員や従業員から、ストック・オプションの反対給付として役務や労務の提供を受けると同時にこれを消費することになります。
つまり、ストック・オプションの付与日の価値を対象となる勤務期間にわたって費用計上することが求められます。
会計的な処理の基本
ストック・オプションの会計処理の基本的な考え方にもとづき、より具体的に会計処理に当てはめてみましょう。
まず、ストック・オプションの付与日の評価単価に、権利確定日において最終的に権利が確定したストック・オプションの数を掛けた金額が費用計上額となります。
権利確定日は、ストック・オプションの条件が達成されて権利が確定した日のことです。
費用計上は付与日から行われ、権利確定日までの間の会計期間においては、権利確定見込み数にもとづいて、当該会計期間に対応する費用を計上しなくてはなりません。
最終的には、対象勤務期間に計上した費用の総額が付与日の評価単価に実際の権利確定数を掛けた金額となるよう調整することが必要です。
なお、役務や労務の提供期間である対象勤務期間は、ストック・オプションの付与日から権利確定日までの期間とします。
権利確定日前後の会計処理
ストック・オプションを付与し、これに応じて役員や従業員から企業が提供を受ける役務や業務の取得に応じ、費用として計上します。
その費用に対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使または失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上することが必要です。
権利確定日になったら、ストック・オプション数を権利が確定したストック・オプション数と一致させることが求められます。
ストック・オプションが権利行使され、これに対して新株を発行した場合、つまり権利確定日後の会計処理は新株予約権として計上した額のうち、権利行使に対応する部分を払込資本に振り替えなければなりません。